ラスト・ブラッド

チョン・ジヒョン、小雪『ラスト・ブラッド』ワールドプレミア開催

5月27日(水)、SHIBUYA-AXにて、『ラスト・ブラッド』のワールドプレミアが行われ、主演のチョン・ジヒョンと、共演の小雪、倉田保昭、プロダクションI.Gの石川光久社長が登壇した。

『ラスト・ブラッド』の発端は、日本の劇場用アニメーション映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』(2000年、プロダクションI.G製作)であった。『BLOOD THE LAST VAMPIRE』は公開されるや絶賛され、各国の賞を受賞。その世界は、その後、多数のテレビゲームとなり、多数の小説となり、多数の漫画となって、テレビアニメシリーズにも発展。その後も様々な形のメディアミックスを展開し、成長を続けてきたが、ここにようやく実写映画化が実現した。同作は、韓国・日本・ハリウッド・イギリス・アイルランドの国際スターが集結、フランスのクリス・ナオン(『キス・オブ・ザ・ドラゴン』)が監督、香港のビル・コン(『グリーン・デスティニー』、『HERO』)が製作者として参加し、極上の多国籍アクションホラーエンターテイメントに仕上げている。

実は、この日は映画イベントが目白押しで、SHIBUYA-AXのお隣、代々木体育館では1万人以上の観客を収容しての『ROOKIES -卒業-』特大イベントが開催されていた。さらに六本木では『ラスト・ブラッド』のライバル映画ともいえる『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』のイベントがまるで狙っていたように同時刻に開催されており、外国映画からのワールドプレミア同士、真剣勝負となった。『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』も『ラスト・ブラッド』も、日・韓の俳優が共演し、フランスの監督が作ったという点では共通している。『ラスト・ブラッド』のプレミアには韓流スター女優チョン・ジヒョンと、日本の国際女優・小雪が登壇。片や『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』のプレミアには韓流スター俳優イ・ビョンホンと、日本の国際俳優・木村拓哉、さらにハリウッドからジョシュ・ハートネットが登壇した。『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』側がこちらを意識していたかどうかはわからないが、『ラスト・ブラッド』側と言えば、スタッフ一同、対抗意識をむきだしにしている様子だった。ちなみに『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』は、取材写真の撮影が一切NGということだったので、マスコミの連中の目線からすれば『ラスト・ブラッド』の方に分があったようにも思えた。実際の勝敗はそれぞれの映画を見てから読者ご自身の判断で決めていただきたいところである。

殺陣

『ラスト・ブラッド』のワールドプレミアは、最初に主人公サヤの衣装を着たスタントマンが、大回転に大ジャンプと、ワイヤーアクションを駆使した華麗な立ち回りを披露。日の丸を思わせる大きな赤い風船を叩き切ると、ステージ奥からチョン・ジヒョンと小雪が登場するという派手な演出から幕を開けた。続いて共演者の倉田保昭とプロダクションI.Gの石川光久社長が登場した。

倉田保昭は日本人でありながら、これまでにジャッキー・チェン、ジェット・リー、チョウ・ユンファ、アンディ・ラウなど、数々の香港スターと共演してきた実績を持つ香港映画界きってのアクションスターであり、あのブルース・リーにヌンチャクを指導したことはあまりにも有名な話である。このイベントで披露されたアクションステージも倉田保昭がプロデュースしたものだ。倉田はチョン・ジヒョンと共演して「全身で表現するすごい女優さん」と感心していた。

アニメファンなら石川光久を知らない人はいないだろう。23年前、アニメーションの制作会社に見限られた石川は、辞表を出し、会社をギャフンと言わせようと一念発起した。当初玩具のメディアミックス作品として企画されていたオリジナルテレビアニメシリーズ『赤い光弾ジリオン』の制作を何とか一任されることになった石川は、低予算ながらも、この作品を、玩具から派生したアニメとは思えない、完成度の高い一大エピックに仕上げ、世界で空前のブームを巻き起こす「ジャパニメーション」の基盤を築きあげた。その後、石川はプロダクションI.Gを設立。『攻殻機動隊』を製作し、米ビルボードの1位に輝くなど、世界のアニメーターの度肝を抜いた。『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟、『キル・ビル』のクエンティン・タランティーノら、石川が世界の映像作家に与えた影響力は計り知れない。

石川は「チョン・ジヒョンさんと小雪さんの対決シーンは何度でも見る価値がある」と絶賛していたが、この日はプロダクションI.Gによるオリジナル作品『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のブルーレイ(ニューHDテレシネ映像とリマスター音声を収録)の発売日でもあったので、「映画を見た後、ぜひブルーレイも買って下さい」と宣伝も兼ねて挨拶していた。

スター登場!

チョン・ジヒョンは、説明するまでもないけれど、『猟奇的な彼女』、『イルマーレ』などで有名な女優。日本では『SAYURI』のチャン・ツィイー(日本人を演じた外国人としては先輩になるかな)に次いでアジエンスのCMに出ており、今最も人気のある韓流女優といえる。チョンは「色んなアクションシーンがあるけど、一番好きなのは雨の中のアクションシーン。ウェットスーツの上に制服を着て、1ヶ月くらいかけて撮影しました」と撮影秘話を語った。小雪との共演については「日本のトップ女優が現場でどんな風に過ごされて、どんな風に役作りをしているか気になりました。とても綺麗な方で、私は小雪さんのようになりたい。真似したいと思いました」とコメント。小雪は「彼女はとても愛らしくて、一瞬で引き込む力があった。彼女の魅力は一言では表現できません」と褒め返していた。

司会者からチョン・ジヒョンに「共演したい日本の俳優は誰ですか?」と質問があると、ライバルを意識していたのか「木村拓哉」と返答。会場のお客さんも別の場所でキムタクが舞台挨拶をしていることを知っていたので笑っていたが、続いて「オダギリジョー」の名があがると、会場から「おお」という感動の声が上がっていた。「日本にはハンサムな俳優さんがいっぱいいますね。女優では小雪さんとまた共演したいです。映画関係者の皆さん、ぜひ私たちにまた共演する機会をください」と次回作への意欲も見せていた。

チョン・ジヒョンは、三つ編みのセーラー服姿で、日本刀を使ったド派手な剣劇アクションを見せる。小雪は恐ろしい悪役の親玉を演じる。狭い路地裏で、激しく雨の降る中、チョン・ジヒョンがたった一人で大勢の鬼たちを次から次へとバッタバッタと切り倒していくシーケンスが圧巻。石川社長推薦のラスボスとの対決シーンまで、多国籍映画らしい異様な世界観で一気に見せるノンストップ痛快エンターテイメント。『ラスト・ブラッド』はアスミック・エースの配給で、5月29日(金)より世界最速全国ロードショー 。

画像をクリックすると30倍のサイズに拡大表示します(撮影:澤田)
小雪とチョン・ジヒョン1 チョン・ジヒョン1 チョン・ジヒョン2 チョン・ジヒョン3 小雪
小雪とチョン・ジヒョン2 倉田保昭 石川光久 倉田保昭、小雪、チョン・ジヒョン