アラン・ドロン (今週のスター)

 男の部屋にはアラン・ドロン

 アラン・ドロンはいい男の代名詞だ。
 ある日、僕が友達と飲みに行ったときの話である。その店のママはなかなかお世辞がお上手で、僕のことを「アラン・ドロンみたい」と言ってくれた。僕はハンサムじゃないし、全然アラン・ドロンには似てないけど、「いい男」という意味で言ってくれたんだと思う。ちょっと行き過ぎとも思うが、お世辞でも嬉しかった。

 何かのテレビの特番でアラン・ドロンが来日したときの映像を見たんだけど、そのときドロンが頭に被っていたものは「安全第一」のヘルメットだった! でも、びっくり。ダサいヘルメットなのに、どうしてかアラン・ドロンが被るとかっこいいんだよね。ゲストの女性陣と男性陣もその格好にしびれていた。ドロンは何を着ても似合う役者なのである。

 ドロンは女性ファンを魅了しつつ、男たちの憧れの的、目標でもある。僕もドロンに惚れた男のひとり。自分の部屋の壁にはアラン・ドロンのポスターを貼って、かっこいいなあといつも見ていた。ドロンが「太陽がいっぱい」(60)に出た頃は、まだ24・5歳(うえっ、今の僕と同い年やんか)。でもあの眩い裸体は、男の部屋の壁によくマッチする。僕の姉もドロンを見て「うわー、男の部屋の壁に貼ってそうだ」と言ったことがあるが、納得だ。実際に僕の叔父(なんとドロンにそっくり!)も壁に「太陽がいっぱい」のポスターを貼っていたんだ。

 傑作が多すぎて、オススメ映画をしぼるのは難しいが、敢えて薦める映画は青春映画「冒険者たち」(67)と犯罪映画「サムライ」(67)である。一番ドロンがかっこよかった頃の名作だ。とりわけドロンは青春映画と犯罪映画に腕を発揮していた。

 とにかく日本での人気は爆発的といってよい。フランスではジャン・ポール・ベルモンドやジャン・ルイ・トランティニャンの方が人気があるかもしれないが、日本では圧倒的にドロンの人気が高い。日本人はアメリカ映画しか見ない傾向があるけど、なぜか人気投票ではフランス畑のドロンが毎年上位にランクインしていた。ドロンがアメリカ映画でも活躍していたら、とんでもない人気だっただろう。ドロンには同性愛疑惑、ギャング疑惑など、色々なうわさ話も多いが、そんなものを吹き飛ばすほどの支持率がある。デビューの57年から引退する98年まで、毎年フランス映画界の第一線で精力的に活躍していたということも驚くべき事実。

 ちなみにテレビの吹き替えでは、いかにも声優らしいユニークな演技で視聴者を魅了する野沢那智さんが声をあてているけど、こちらもドキドキさせてくれます。

オリジナルページを表示する