第15夜『Genius Party Beyond』

これが日本のアニメーションの底力

Genius Party Beyond』は物議を醸した『Genius Party』の第2弾にあたる。『Genius Party』はアニメーターたちが自分の作りたい世界を何の制約もなく思う存分作りまくるプロジェクト。「Genius」は「鑑賞者」のことを指しており、作り手は鑑賞者が宴に参加できるものを目指していることがわかる。鑑賞者は宴に「参加する」という気持ちで見てもらえればと思う。せっかくの宴だから、自分から乗りに乗って楽しまなくちゃね。

GALA
「GALA」は、いかにも日本のアニメ風の絵で描かれた作品。僕はアキバシアターで鑑賞させてもらったが、ここの試写室が爆音ともいえるほどの大音量で、音楽がけたたましく鳴り響いて、音の波動に圧倒されて投げ飛ばされそうな勢いだった。「GALA」は音が重要な要素を持った作品で、後半、キャラクターがいっせいに音楽を奏でるシーンの迫力に感動しまくり。映像もものすごく壮大。大きな物体が音楽にあわせて物凄い勢いでニョキニョキと伸びていくシーンに仰天。心臓はバクバク。見終わったときにはかなり耳がキーンと鳴ってたけど、どえらいものを見た気になった。

MOONDRIVE
「MOONDRIVE」は、『キル・ビル』のアニメパート監督を務めた中澤一登の作品。この作品には常識が通用しない。あべこべだらけの世界。思い切りナンセンスにコミカルに作られている。

わんわ
「わんわ」は、絵自体は、5作の中では最も平面的なのに、映像となって動き出すと、物凄く立体的な映像となって迫って来る。平面的な絵が、360度ぐるぐると回って、めまぐるしくかわる映像のシャワーに圧倒されるばかり。映像だけでなく、ストーリーも秀逸だ。

陶人キット
「陶人キット」は、7年越しで完成させたとあって、大作になっている。それまで音楽がガンガン流れていたのに、この作品には音楽がなく、静寂感が漂う。狭い室内空間のデザインが素晴らしい。あえて壁・床・天井を意識してフレームにいれて、閉塞感を出しており、異様な雰囲気を醸し出している。

次元爆弾
「次元爆弾」は、僕が今回最も驚いた作品。ストーリーのようなものはなく、ミュージッククリップのような映像詩になっている。ワンカットワンカットのイメージが強烈で脳裏に焼きついて離れず、その映像には生理的な恐怖すら感じてしまうほどだ。心の奥を突かれているような不思議な映像体験だった。

第2弾は第1弾よりも作品数が少ないが、完成度では第1弾を超えているのではないかと思う。第1弾にあった「BABY BLUE」のようなリアリティ重視の作品がないのは残念だが、それを差し引いても傑作揃いだ。5作いずれも何度でも見たいと思わせるものになっているし、日本のアニメはやっぱり世界一だと思った。見て損は無し!(2008/8/18)


『Genius Party Beyond』プロモーション映像

Genius Party Beyond』は、10月11日(土)よりシネマート六本木ほかにて全国順次ロードショー!

(C)Genius Party Beyond