100年前のクラシック映画から映画史を読み解く


水の映像 (フィルムロジック)


Lesson 11
水の映像

1.海・川・湖・泉の映像
2.滝・間欠泉の映像
3.水中・海中の映像
4.蛇口・ホースから出る水の映像
5.コップの水・バケツの水の映像
6.噴水の映像
7.雨・雨漏り・水たまりの映像
8.水滴・水しぶきの映像
9.バスタブ・プール・タンクの映像
10.水槽・金魚鉢の映像
11.その他

以上、一口に水の映像といっても、様々なものがある。水の映像は、ひょっとしたら火の映像よりも撮影が難しいかもしれない。水の映像をうまく撮れてこそ、一人前の映像作家といえるだろう。

「僕の村は戦場だった」
監督:アンドレイ・タルコフスキー
水の映像を見たければ、まずはとにかくタルコフスキー映画を見ろ。水の映像は、タルコフスキーに始まり、タルコフスキーに終わる。ゆらめく水面、せせらぐ小川、冷たく輝く池、したたる滴。水そのものが、反射する光線が、彼の映像の中では詩のような芸術となる。左は飛び散る水をスローで捉えた映像。透明感ある水の変形が素晴らしい。

「羅生門」
監督:黒澤明
オープニングのどしゃぶりの景観、その後のまばゆい太陽光線。モノクロ独特の白と黒の調子を生かして、存分に映像美学を堪能させてくれる。黒澤が人一倍雨の映像にこだわっていたのは、目標とするアメリカ映画に雨のシーンが少ないからである。ならば俺が最高の雨の映像を撮ってやろう、というわけだ。

「リトル・ロマンス」
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
別に水をテーマにした作品じゃないけど、「水の都ベニスを舞台にした映画」ということで、引用させてもらった。ベニスという町は、水が綺麗というわけではないが、町全体に水が流れているということそのものがロマンチックである。ベニスには車道は全くなく、ゴンドラが雰囲気を盛り上げる。

「ドゥ・ザ・ライト・シング」
監督:スパイク・リー
スパイク・リーの映画は登場人物のアクションの全てが活気でみなぎっている。本作は、最初のタイトルバックからハイな作品。左写真は消防用の管から噴射される水でふざけているシーンだが、水の量と勢いが滝のようにすごい。ピクニック気分のシーンでこれだけの水を使ってしまうリーは、まさにハイな監督だ。

「リバー・ランズ・スルー・イット」
監督:ロバート・レッドフォード
わりと映画ファンなら誰でも見ている作品なので、この映画のキャメラの素晴らしさはみんなわかっていると思う。釣りのシーンは清々しく、川の美しさ、自然というものの素晴らしさを見せつけてくれる。釣りをしない人が、これを見て釣りに興味を持つようになったことがうなずける。

「海外特派員」
監督:アルフレッド・ヒッチコック
当コーナーでは毎度ヒッチコックを引用しているが、それだけヒッチは凄いのである。彼はあらゆる映画技法をあみ出した天才だ。これは紛れもない事実なのである。もちろんヒッチは水を操る達人でもあった。左は飛行機が海に墜落して、浸水する機内から脱出するスペクタクル・シーン。ほんの数分間の場面だったが、スリルのある映像であった。
 なんだかこのコーナーも最近冴えなくなってきたなあと思ってます。うちのサイトで一番寒いかも。最近は僕も読者に媚びてたような傾向があったので、安っぽい内容になってしまって、反省しております。次回からは今までの<フィルムロジック>とはスタイルをガラリと変えて、もっと深い内容をお届けしたいです。読者層はこれからはもっと限定されてしまうと思うけど、一部のコアな読者が満足してくれるのなら、それで本望です。というわけで、今後の更なる発展をご期待ください。

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