2008/08/04 Vol.152


こんにちは。澤田です。

過去に単独インタビュー取材したとき、録音しておいたインタビュー音声がまるごと消失してしまい大失敗したことがあります。単独取材となると、他に頼れる人がいませんから自分がしっかりしていなければ元も子もありません。その件以来、僕は万一に備えてメモを取るようにしています。


コラム「通訳の仕事はいかに冗談を伝えるか」


通訳は、直接スターと会話することになるため、あらゆる職業の中でも、最もスターに接触できる仕事といえるかもしれません。映画関係のイベントを担当する通訳さんは大抵「この人」だと決まっているようで、僕は英語の通訳さんだけでも10人くらいのお顔を覚えました。僕の知る人は全員女性です。一人一人の訳し方の特徴もわかってきました。

僕は先週、『ダークナイト』の記者会見があったホテルのロビーで、偶然通訳さんと会いました。通訳さんはこの日は『ダークナイト』の会見ではなく、エドワード・ノートンの通訳として同じホテルに来ていたそうです。映画関係の通訳が非常にうまい方で、その翌日にはミシェル・ゴンドリーのインタビューでもお世話になりました。先週だけでも僕は4日も続けて会っていますから、彼女も相当忙しいのではないかと思いました。

通訳さんは、来日スターが長々と話をしても、言ったことをちゃんと最初から最後まで覚えているから感心するばかりです。通訳さんのノートを見ても、ただ英単語が並んでいるばかりで、ちょっとしたメモ程度だけなのに、あれだけ長いスピーチを細く覚えていて、しかも頭の中に英語で入ってきた言葉を、はっきりとした日本語にすぐさま変換して言葉に出すわけですから驚きます。

この前、ものすごくヘタな通訳を見たことがあります。通訳が外国人だったので無理もないのですが、日本語の文法が無茶苦茶で、何を言っているのか本当にわかりませんでした。ひどいのは冗談の伝え方です。冗談が冗談だと通じなくて会場はしんとしていました。しかも、訳し方が悪かっただけなのに「アメリカンジョークは日本人には通じません」と文化のせいにしちゃってました。僕はヘタな通訳をみて、うまい通訳のありがたみを痛感しました。

通訳のコツは、いかに冗談を日本人にわかるように伝えるか、だと思います。来日スターはよくおどけます。その冗談を、日本人が一発で受けるように訳してさらりと言って笑わせなければなりません。結構難しいと思います。これができるのがプロの仕事です。