パウロ・モレッリ監督

『シティ・オブ・メン』
パウロ・モレッリ監督インタビュー

ブラジル、ファヴェーラでのギャングの抗争を描いた『シティ・オブ・メン』。8月9日に公開が控え、パウロ・モレッリ監督に話を聞くことができた。子供達が銃を持ち、海辺にそそりたつ丘のスラムに激しい銃声音が響き渡る。そういったショッキングな現実を描いている作品だが、監督はとても温厚で親しみやすく、インタビューのときも向こうから「はじめまして。よろしくお願いします」と笑顔で握手してきて、一瞬で打ち解けあえた。時間の都合上、2つしか質問ができなかったのが残念だが、非常に中身の濃いコメントをいただくことができた。

--映画をつくる上で大切なことは何ですか?

 真実を伝えること。現実を反映するストーリーを伝えること。 自分にとってシネマというのは、プラトンの洞窟に描かれている寓話の現代版だと思う。つまり、夢というものや、人間性というものを描くことができるもの。それが新鋭な形で描けた場合、人の精神をもよりよくすることができる。いつの日かそういう作品を撮れたらいいと思う。

--最近のハリウッド映画をみて何か思うこと、いつも感じることがあれば教えてください。

 二つの種類に分けられると思う。スーパーヒーローものと、いわゆるインディペンデント系のもの。私はスーパーヒーローものは大嫌いだ。子供っぽいし、退屈で、正直もう飽き飽きしている。

 アメリカのインディペンデント系は非常にいい作品を作っている。ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』は興味深い作品だった。それから、メキシコの監督だがハリウッドで作られた『21グラム』と『バベル』。ジョージ・クルーニーが出ている『シリアナ』も中東を舞台にしていて良かった。ジョージ・クルーニーは、綺麗な美しい顔をしているが、大変パワフルなマインドをもっているし、大変賢い人だと思う。父親の経験をベースにした『グッドナイト&グッドラック』も興味深い作品だった。

 ハリウッドというか、アメリカ、イギリスの映画業界が作り出しているものでは面白いものがある。例えば、フランスよりはアメリカのインディペンデントの方が面白いし、成熟度においても世界でもトップクラスにあると思う。
(取材・写真:澤田)

シティ・オブ・メン』は、8月9日(土)渋谷シネ・アミューズ ほか全国ロードショー