キス・シーン (フィルムロジック)


Lesson 8
キス・シーン

 このコーナーは、うちのサイトで一番アクセス率が悪いので(泣)、ちょっとアクセスアップのために、今回は皆さんも興味津々だろうと思う「キス・シーン」の特集を作ってみた。

 キスってどうやるのか、ちょっとよくわからない。映画じゃなんとも言えないし。舌を入れるってのも僕は子供の頃はずーっと知らなかった。だって、キスしようとするとき、よく映画ではひょっとこみたいな口するから。最近の映画では舌を入れているのも見えるような感じになってきたけど(鼻息まであらくなってきた)、どういう風に舌入れてるのかは謎。みんな自己流にやってるのだろうか。昔の映画ではやっぱり入れてないのかな。・・・こ、こんなくだらん話は置いといて、次いってみよう。

 僕はキス・シーンは正直言って好きではなかった。昔は「こんなのなくても映画は面白いんだ!」、「ハリウッド映画はエッチなシーン見せて客を喜ばせようとしているのか!」とか偏見持っていたものである。たぶん、子供の頃に家族と映画見ていてラブシーンになって気まずい思いをしたことが何度もあったから、その思い出がそういう偏見を抱かせてしまったのかもしれない。でも成長するにつれて、だんだんとキス・シーンの良さもわかってはきた。そういえば、映画が生まれて1年もたたない時期から、キスを撮影しただけの活動写真はすでにあったのだ。

 てなわけで、ここでは出来の良いキス・シーンだけをいくつか紹介することにする。

「地上より永遠に」
監督:フレッド・ジンネマン 出演:バート・ランカスター、デボラ・カー
 海辺でランカスターとカーがロマンチックなキスをする恐らく映画史上最も有名なキス・シーン。今までどれだけパロディができたことか。アカデミー賞を受賞した名作であり、当時はなかなか新鮮だったようだ。不倫を描いて、映画の中の道徳の域を越えようとした作品であった。不倫だからこそキス・シーンも熱く感じるのだろう。

「シティ・スリッカーズ」
監督:ロン・アンダーウッド 出演:ビリー・クリスタル
 ロン・アンダーウッドは密かに僕が期待を抱いている監督である。「トレマーズ」「愛が微笑む時」など、彼の映画のラストは決まってハッピーエンド。必ずキスで幕を閉じる。都会生活に疲れた親父たちの心温まる現代西部劇「シティ・スリッカーズ」は、忘れていた何かを思い出させてくれる作品で、アメリカで熱く歓迎された。アンダーウッドの描くキスには、温か味がある。

「草原の輝き」
監督:エリア・カザン 出演:ナタリー・ウッド、ウォーレン・ベイティ
 今の青春映画には数多くのキスが登場するが、そういう現代派青春映画の先駆けといえる作品がこれ。キスの前に場面が変わったり、ロングショットになったり、ごまかしも多いけど、ディープキスなどもあり、まいど問題作を放つエリア・カザンらしい思い切った性映画であることには違いない。それにしてもナタリーはただひたすら可愛い。関係ないが彼女の次々と変わるヘアスタイルにも注目だ。左写真は中でも一番可愛かったキス・シーン。この映画は若さと活気に溢れている。

「ローマの休日」
監督:ウィリアム・ワイラー 出演:グレゴリー・ペック、オードリー・ヘプバーン
 日本人に大人気のこの作品。恋を知らない王女さまが、グレゴリー・ペックと無邪気にデート。このはしゃぎっぷりが可愛くて、たくさんの名場面が生まれたけど、ロマンチックな2つのキス・シーンも忘れないで欲しい。2つとも素晴らしいが、別れのキスは特にじんとくる。これに比べて、最近の恋愛映画はシナリオは面白いけど、直感的に心に響くものがなくなったなあ。

「エレファント・マン」
監督:デビッド・リンチ 出演:ジョン・ハート
 涙が出るほど残酷なキス・シーン。これはゴシック・ホラーのような悲しさがある。象のようにばかでかい顔を持つ奇形の主人公が、大勢の大人たちにいじめられながら、嫌がっているひとりの女性と強引にキスさせられる一コマ。通例キスはプラス・イメージであるが、この映画ではキスを負のイメージとして利用している。このときのBGMも恐ろしかった。

「蜘蛛女のキス」
監督:ヘクトール・バベンコ 出演:ウィリアム・ハート、ラウル・ジュリア
 これって同性愛のキスだけど、なんかすげえ感動しちゃうんだよなぁ。キスしてるときのウィリアム・ハートの表情がいい。監獄に2人入れられ、最初はそういう関係ではなかったが、だんだんとそういう関係になっていく演出は、他のホモ映画にも見習ってもらいたい。余談だが、企画段階ではバート・ランカスターがオカマ役をやるはずだったらしい。

「汚名」
監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:ケーリー・グラント、イングリッド・バーグマン
 当時、史上最長のキス・シーンといわれたのがこれ。昔はキスは3秒以上やったらはねとばされてしまうのだが、どうしても濃厚なキスを見せたくてたまらないヒッチ先生は、会話をしながらのキスをあみだし、カットしてしまっては話がわからなくなるので、まんまととぎれとぎれに2分から3分間の長いキス・シーンを作ったのだった。この作品に限らずヒッチ映画にはどこか色気がある。
 この他に、「黄金狂時代」、「レイダース」、「幸福の黄色いハンカチ」、「undo」とかも載せたかった。

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