『TOKYO!』ポン・ジュノ監督が来日
香川照之、蒼井優、藤谷文子、加瀬亮が出席
7月2日(水)渋谷のホテルにて、『TOKYO!』(作品情報・画像はこちら)の完成披露記者会見が行われた。
『TOKYO!』は、NY、パリ、ソウルで活動中の映画監督が東京について描く3部作オムニバス。監督に選ばれたミシェル・ゴンドリー(『エターナル・サンシャイン』『僕らのミライへ逆回転』)、レオス・カラックス(『汚れた血』『ポンヌフの恋人』)、ポン・ジュノ(『殺人の追憶』『グエムル−漢江の怪物−』)は1人だけでも相当ネームバリューが高いのに、この3人がなんと1本の映画のために集結した。本作はカンヌ映画祭の「ある視点部門」でも絶賛された作品だ。
会見では3部作のひとつ「TOKYO!<シェイキング東京>」からポン・ジュノ監督・香川照之・蒼井優、3部作のひとつ「TOKYO!<インテリア・デザイン>」から主演の藤谷文子・加瀬亮が登壇。それぞれの製作秘話について語り合った。それは監督次第で撮影現場の雰囲気がまったく違うことを如実に物語る会見となった。
<シェイキング東京>組では、香川はポン・ジュノ監督について「世界で一番会いたくて一緒に仕事したかった監督だから、撮影中は今しかないと思って大好きな『殺人の追憶』の裏話についてあれこれ聞いて、そればかりで芝居どころじゃなく、そのうち一日が終わっていくという幸せな現場だった。監督はかつて漫画家を志望していたこともあり、絵心があって、ほとんど全部のカットを絵コンテにしていた。監督はとても変わったことが好きな人。監督のことについて語ればきりがない。監督との仕事はたのしいの4文字だった」と興奮気味に語った。
蒼井は「照明に2時間待ちとかもあったけど、監督は急かすことなくじっと待ってくれて、久しぶりに映画を作る熱を感じた現場だった。急にセリフに関西弁を使いたいと言ったり頭の柔軟さには驚かされた。現場に監督の奥さんと息子さんがいてパパとしての一面もあった」と監督を称えた。
ポン監督は「私は役者が好きだし、役者を信頼している。映画を撮っているときに、あるタイミングになると、実際に体で表現している役者の方が監督よりももっと映画とキャラクターについて理解するようになる。今回2人と一緒に仕事をして、そのことをまさに再確認させられた」と香川、蒼井を賞賛した。
一方<インテリア・デザイン>組の方では、藤谷はミシェル・ゴンドリー監督について「ずっとカメラが回っていた印象だった。現場ではひたすら本番で、カットがないから演技を繰り返しているうちに余分な緊張が削ぎ落とされていくという不思議な、気持ちいい状態だった」と振り返る。
加瀬は「ミシェル・ゴンドリーはとにかく大変。一切予定していることはなく、朝からカメラは回りっぱなしで、回っている最中に監督が思いついたことを次から次に指示してきて、いきなりジェームズ・ブラウンの真似をしろと言われたり、歌っていたらまた次の指示がきたり、自分でコントロールすることはできなかった。しまいには何をやってるのかよくわからない状況だった」と監督の傍若無人ぶりを明かした。しかし2人がいうには、それでも監督は憎めない可愛い人なのだと語る。加瀬は自分に用意された衣装がことごとく監督そっくりの衣装だったことから自分が監督の投影だと信じて演じたという。
スタイルの異なる3人のシェフが、東京という初めての食材を用いて自慢の腕を振るった『TOKYO!』。これは日本映画界に新風を吹き込むことになりそうだ。(2008/7/2)
<シェイキング東京>組の香川照之と蒼井優
<インテリア・デザイン>組の藤谷文子と加瀬亮
『TOKYO!』は、晩夏、シネマライズ、シネ・リーブル池袋 ほか、世界先行ロードショー