『グーグーだって猫である』
小泉今日子さん、上野樹里さん、加瀬亮さん
犬童一心監督、完成披露試写会舞台挨拶
少女漫画好きな人なら知らない人はいない大島弓子先生の自伝的エッセイ漫画『グーグーだって猫である』を、『ジョゼと虎と魚たち』、『タッチ』の犬童一心監督が映画化。4月25日、有楽町にて完成披露試写会が開催され、犬童監督と、主演の小泉今日子さん、上野樹里さん、加瀬亮さんの舞台挨拶が行われた。
小泉今日子さんの主演作とあって以前から話題を呼んでいて、この日は多くの観客、マスコミ、関係者が詰めかけ、舞台挨拶中は客席の両側にずらりと立ち見の人が並ぶほどの盛況ぶりだった。
『グーグーだって猫である』はタイトルからもわかるとおり、猫が重要な位置にいる作品。小泉さんも猫を飼っていて「私は猫に助けられることが多くて、猫のことをお母さんと呼んでます」と話した。上野さんは小泉さんとの共演について「思い出せないくらい沢山の話ができて楽しかった」と語った。
小泉さんは近年話題作が続いているが、女性映画の本格的な主役は久しぶりになる。監督は小泉さんのことを「人間じゃないみたい。妖精みたいだった」と大絶賛。上野さんについては「昨日『ラスト・フレンズ』を見たんだけど、やっぱり俺の目は間違っていなかった」、加瀬さんについては「すごく難しい役をこなしてくれた」と、3人の演技を称えた。
この作品は、猫が主役ではあるが、もっと観念的な味わいのある不思議な不思議な映画になっている。それまでのイメージとは正反対の不器用な性格の漫画家を演じた小泉さんは、この作品について「宇宙から見た吉祥寺」と説明する。吉祥寺という小さな町を舞台に、広い広い宇宙が描かれた作品。人間も動物も神様も同じ次元で捉えたような作品になっている。とはいえ、難しい映画ではなく、直観で鑑賞できる娯楽作になっている。
この映画、出演者がかなりくせ者揃い。大後寿々花さん、松原智恵子さんの他にも、出て来ただけでびっくりしちゃうという、サプライズキャストも多数。森三中の3人も漫画家のアシスタント役として揃って出演し、お約束の演技で笑わせてくれる。
注目は日本愛好家でついには日本に住みついたアメリカのヘヴィメタルギタリスト、マーティ・フリードマンさんがこれで映画デビューしていること。テレビではぺらぺらの日本語で喋る彼が英語で狂言回しの役を務めており、日本情緒あふれる吉祥寺に英語というおかしなギャップがマジカルな雰囲気を醸し出している。
音楽担当は「日本語ロックの祖」細野晴臣さん。作品のために「猫語」として使われる擬音を作曲している他、テーマ曲を小泉さんとデュエットしている。そのことについて質問された小泉さんは「無理やり歌わされました」と苦笑していた。
犬の映画はいっぱいあったけれど、猫の映画はあまりなかった。この映画のラストシーンは猫好きの人なら感涙必至。この映画は、すべての猫好き、すべての漫画好き、すべてのロック好き、すべての吉祥寺好きにおすすめしたい。(2008/4/25取材)
『グーグーだって猫である』は9月、シネマライズ他全国ロードショー(配給:アスミック・エース)