24 -TWENTY FOUR-

日本でもブームの火付け役になった海外ドラマの代名詞

24
『24 -TWENTY FOUR- シーズン1』
販売元:20世紀フォック・ホームエンターテイメント・ジャパン

 海外ドラマといえば『24』というくらいに、もはや海外ドラマの代名詞にもなった作品。このヒットがきっかけになって、日本では続々と海外ドラマがビデオ化された。

 僕の抱いた第一印象は主演のキーファー・サザーランドの健在ぶり。キーファーはかつて映画業界でも有名な青春映画スターだったが、だいぶ低迷していたこともあって、「いったいあいつは今、何してんだろう」と思っていたくらいだった。『24』で渋い大人の男性になって、まさかこういう形で返り咲くとは!

 『24』の特徴は、24時間の出来事をリアルタイムに見せて行くこと。1時間ずつ24話で完結というわけだ。この新しい試みが話題が話題を呼んで、発売日には長蛇の列ができるほどのヒット商品にななった。

 (以降ネタバレ含む)ストーリー展開は、基本的にミステリーのスタイルを取っている。先に進むにつれて真相に近づいて行くというスタイルである。そのため、ミステリーにありがちなショッキングなシーンや、どんでん返しがあったりもする。

 役者たちも毎回撮影が終わるときに次の撮影の台本を渡されたということで、先の内容については一切分からず、是か非かどっちつかずの演技をしたという。そこが映画とドラマの違うところ。ドラマの結末は、放送を重ねながら、視聴者の反応や社会の傾向を見つつ、適時修正されて作られていくのである。

 打ち明けると、僕はこのドラマはあまり好きにはなれなかった。あくまでこれは僕個人の意見。「こいつらはいつトイレに行ってるんだ?」「2日も寝ないで大丈夫なのか?」「移動が早すぎじゃねえか?」などなど、考えるだけ野暮なんだけど、性格からか、どうしてもそういう余計なことを考えてしまうのである。むしろ24日の出来事を24話で描いた方が面白かったんじゃないかとかも思ったりした。僕は夜更かしをすると物凄く体調が悪くなる男なので、ドラマを見ているうちに、なんだか2日寝てない自分を想像しちゃって、唇が乾いて変な気分にもなった。

 味方をわざと怪しく描いたり、信じていた人が実は裏で敵と繋がっていた!みたいな、ミステリーの仕掛けが、どうも視聴者に対して「してやったり」と言ってるような空気が感じられて、そこも好きになれなかった。登場人物が記憶喪失になるのもあざとすぎじゃないか。

 最初の敵が中盤で簡単に別の敵に抹殺されて、敵役の立場となる人物が総入れ替えしたところにも拍子抜け。音楽も全然パッとしないし、僕の苦手な分割スクリーンが多用されているのも残念。試みとしてはたしかに面白いとは思うけど、同じフォックスのドラマなら、僕はダンゼンダンゼン『プリズン・ブレイク』の方をおすすめする。(2008/3/13)