ヒラリー・スワンク

ヒラリー・スワンク

No.338 Hilary Swank (1974-) US Actress

 ヒラリー・スワンクの最初の大役は『ベスト・キッド4』(95)だろう。これは必ずしも幸運な出だしとは言えなかった。だって当時の僕らのクラスメートは皆『ベスト・キッド』のファンだったし、よくラルフ・マッチオの真似をして片足蹴りをしたものだったから。それがどうだ、この『ベスト・キッド4』の主役は女と来たものだからクラスメート一同がっかりである。当時学生の僕等は男同士の熱いバトルを期待していたから、ヒラリーの顔を指さして、なんで女なんだよぉと一言。少しでも女っけのある映画にとにかく反感を持っていたわけである。

 ヒラリー本人にとっては、これはビッグチャンスだった。空手は向こうでも人気のある格闘技だったし、アカデミー賞にもノミネートされている大ヒット・シリーズだったわけだから。これでヒラリーに男勝りなイメージがついたのも幸運だった。そこから進んでもっと難しい役に挑戦したのが『ボーイズ・ドント・クライ』(00)である。これでヒラリーは若くしてアカデミー主演女優賞を受賞。電撃出世である。ヒラリーはレズの女性を演じていて、顔の見た目はまるっきり男、声色もそのまま男になりきっていた。その一方で、セクシーなヘアとヒップもあらわにし、女性の肉体の美しさを存分に見せつけてくれた。

 趣味の話になるが、僕個人はどうもボーイッシュな女性に何も感じないらしく、『ボーイズ・ドント・クライ』で彼女の名前は覚えたけれど、この時はまだ外見的に受け付けなかったようで、大して注目はしていなかった。

 ところが、その後で出た『ザ・コア』(03)の軍服姿のお姉さん役にドキュンときた。僕は『ザ・コア』1本だけで彼女の虜になっちゃいましたよ。あー、これが本物のヒラリーなんだなって。

 そして女空手家ならぬ女ボクサーを体当たりで演じた『ミリオンダラー・ベイビー』(05)で早くも二度目となるアカデミー賞を受賞し、彼女は若手演技派ナンバー1女優の名声を欲しいままにする。苦労してのしあがっていくストーリーは彼女の実生活にも通じるものがあったようだ。『ミリオンダラー・ベイビー』を見てると、ヒラリーがとても可愛いくてね。笑顔が最高。こういう激しいボクシングをやらせても可愛いわけだからやっぱりこれも才能なのか。ともかくまずはこれから見ることをおすすめする。

 『ブラック・ダリア』(06)にはぞくぞくっときたね。昔のフィルムノワールに出て来そうな、男を地に落とすような、あんなに危険な香りのするセクシーな女性にもなれるのかと新発見であった。ちょっとアブなすぎたけど・・・。

 その他、『マリー・アントワネットの首飾り』(02)、『リーピング』(07)、『フリーダム・ライダーズ』(07)、『P.S.アイ・ラヴ・ユー』(08)などに主演。彼女はまだまだ若い。このまま順調に行けば、キャサリン・ヘプバーンのオスカー記録を超える可能性もあるぞ。(2008/3/12)