ザムザ氏の変身 (作品紹介)

キャロライン・リーフ
1946年アメリカ生まれ。ハーバード大学でビジュアルアートを学ぶ。NFBではマクラレンの洗礼を受け、技術力・発想力は第一等。「ストリート」はオイルペイント方式。絵の具にグリセリンを混ぜて、絵の具を乾かないようにして、ガラスの上に絵を描き、一コマ撮影したら絵の具を拭き取ってまた塗るというもの。「がちょうと結婚したふくろう」は砂と透過光方式。ガラスの上に砂を敷き、ガラスの下からライトを当てて、そこに表れる濃淡を利用して映像を創り出す。「姉妹」はフィルムを1コマ1コマ引っ掻いて作り、マクラレンが実現しなかったカメラレスのドラマの作成に成功した。リーフの作品が凄いのは、形式だけに止まらず、内容もしっかりと練りこまれていることである。

短編アニメーション映画としては史上ベストワンといっても過言ではない傑作。カフカの「変身」を、リーフお得意の砂を使った透過光方式で映像化している。ある日目覚めると虫になっていたという奇抜なストーリーを表現する、これまた異様な雰囲気の映像。あたかもカメラを背負って移動撮影するかのごとく、縦へ横へと立体的に空間が動いていく映像はアニメーションの神髄である。そして胸締め付けられるラスト。この作品をリーフは自宅で暇な時間を使って制作したというから驚くしかない。

オリジナルページを表示する