マトリオスカ (作品紹介)

コ・ホードマン
1940年オランダ生まれ。NFBでは子供向けの人形アニメーションを多数発表。登場するキャラクターたちの姿形と動きがユニーク。「砂の城」、「生きものたちの庭」に出てくる動物たちは、大人がみてもイマジネーションを刺激される。相当なアイデア・マンで、「シュッ・シュッ」では積み木に絵を描いて動作をつけ、「チャールズとフランソワ」「哀しみの白クマ」ではぺらぺらの切り紙を立体的なセットの中に配置するという斬新な手法を開発。


ホードマンの映画は「生きものたちの庭」を見てもわかるように、キャラクターの造形が面白いが、観客の心を本当に捉えていたのは、デザインよりもむしろ動きだったのではないか。「マトリオスカ」はそれを証明するホードマンの初期の傑作。既存のおもちゃを使うアイデアは、意外と誰も気づかないものである。お茶目な音楽に乗せてロシアのおもちゃが踊り出す。ただそれだけの作品にして、その動きがあまりにも可愛いものだから、見ているうちに胸がぽかぽかと温かくなってくる。これだけでこんなにも素敵な気持ちにさせてくれるなんて、天才である。

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