死後の世界 (作品紹介)

イシュ・パテル
1942年インド生まれ。農村で育ち、大学で前衛芸術を学ぶ。1970年からNFBに参加。パテルがこれまでアニメーションに使ってきた素材は実に多彩だ。「パースペクトラム」では四角形の切り絵と日本の琴の演奏を同期させ、「ビーズ・ゲーム」では無数のビーズを使って制作、「死後の世界」では粘土と透過光による独自のイマジネーションを展開。「パラダイス」では背景に穴を空けて光の宮殿を描いた。パテルの作品には、アジア的な風土色・宗教色が少なからず作風に表れている。なお、NFBのロゴマークはパテルがデザインしたものだ。


ストーリーはない。死後の世界のビジョンを、アニメーションで表現した作品である。ガラスの上に粘土を置き、透過光を使って、コマ撮りしたものだが、これが粘土だと誰が気づくものか。次々とメタモルフォーゼしていく映像には一種の恐怖さえ覚える。イマジネーションを形にするための表現方法に関しては、アニメーション以上のものはなく、アニメーションという芸術の映像的自由さを知らしめる一本である。

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