オーロラの彼方へ (レビュー)

Frequency

★★★1/2

<アメリカ/2000年/SF/121分>
監督:グレゴリー・ホブリット/音楽:マイケル・ケイメン
出演:デニス・クエイド、デニス・カヴィーゼル

【PG-13】

●しくしく映画かと思えば、はらはら映画だった
 物置から見つけてきた無線機に、突如反応が・・・。オーロラの影響で、それが死んだお父さんの無線機につながったのだ。息子は事故死したお父さんを死なせないために、あれやこれや話する。そのかいあって、父は事故死を免れ、久しぶりに親子の会話を楽しんだとさ。一件落着。・・・かと思ったら今度は、時代が変わった影響でお母さんが殺される。ここから犯人をつきとめようと、サスペンス映画になる。
 最初は夢のあるファンタジー映画と思って見ていたのだが、後からこのように大変な映画になったので、宣伝コピーから過剰にストーリーを想像してしまっていた僕としては、多少後半がだらだらして見えて仕方なかったのだが、それはそれで意外な展開だったので、なかなか楽しめた。構成がとても丁寧に組み立てられているのである。
 この映画の面白いところは、息子と父が「同じ場所で同じ無線機を使って」会話しているということ、息子の世界の時間と父の世界の時間が「同じペースで経過していく」ということ、母は息子の世界ではすでに殺されているが「父の世界ではまだ殺される前」ということ。そして二人はお互いに「会話するしか術がない」ということ。これだけ沢山の要素が上手い具合にカセとなり、それぞれのカセが次々と主人公たちの前に立ちふさがり、緊張感を高めるのである。実に巧みではないか。
 いくらかハリウッド映画によくあるありきたりなくだりが目立つので、個々のシーンは新鮮味にまるで欠けるが、よくある内容をこういう意外な発想でまとめたセンスは高く評価したい。
 

最後に一言:久しぶりにクサイ邦題が出た

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