ラストマン・スタンディング (レビュー)

Last Man Standing

★★★

【R指定】
<アメリカ/1996年/101分/西部劇>
製作・監督・脚本:ウォルター・ヒル
撮影:ロイド・アハーン/音楽:ライ・クーダー
出演:ブルース・ウィリス、クリストファー・ウォーケン、
ブルース・ダーン、ウィリアム・サンダーソン

ネタはあかしていません。

●リメイク・ブームに便乗して登場
 90年代はリメイクブームだった。色々な映画が再映画化されたものだ。その中でも、無謀といえるようなリメイクもいくつかあったが(「ジャッカル」「ゴジラ」など)、「ラストマン・スタンディング」も無謀な挑戦だったかもしれない。
 これは黒澤明の「用心棒」をアメリカ的なギャング・ストーリーで描いた作品である。監督は「48時間」のウォルター・ヒル。世界一の映画監督の映画を作り直すなんて、あまりにも無茶すぎたが、彼の工夫は、ずいぶんと良い線いっている。「用心棒」の人間くささをハードボイルド・タッチにして、あくまでジャンルの異なる映画に仕上げたことで、最後まで観客を引きつけることができた。
 

●暗黒映画と西部劇のムード
 「ラストマン・スタンディング」には美学がある。素晴らしい映像の演出だ。禁酒法時代を背景にして、イタリア・マフィアの暗黒映画を思わせるムードを作り、それでいて渋い孤高の西部劇としての持ち味もある。そこがこの優れた一面だ。もはや「用心棒」のような手触りはまるでない。少し残酷なアクション・シーンも、豪快かつ美しい。
 が、個々のシーンに見せ場が少なく、わりとストーリーが雰囲気負けしているところがあるようだ。ムードはすごくいいのだから、実に惜しい。
 

最後に一言:男なら拳銃一挺で勝負しろ!

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