パーフェクト・ストーム (レビュー)

The Perfect Storm

★★★

<アメリカ/2000年/アクション>
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:ジョージ・クルーニー、ダイアン・レイン、
メアリー・エリザベス・マストラントニオ、
マーク・ウォールバーグ、ウィリアム・フィッチナー

ネタをあかしています。

●やたらと長い序章
 現在興行成績を順調に上げている実話を元にしたパニック系映画だが、うーむ、見終わった後の観客たちの反応が心配である。
 「完全な嵐」を主人公にした波の映画であるが、その波までの序章がやたら長いことか。漁師仲間たちがわいわい騒いだり、喧嘩したり、愛を語り合ったり、このドラマが少しも面白みがなく、共感もわいてこない。制作者側は、この序章を苦心の末に感動的なドラマとして仕上げているようであるが、スペクタクルを見に来た観客にとっては、このだらだらとしたヒューマニズムには耐えられないだろう。唯一の救いはダイアン・レインがいい歳して久しぶりに若々しい演技を見せていることだけか。
  

●ようやく事件発生、でもそれがどうした
 ようやく出航してくれて、これから幾分か面白くなるような気がして、少し眠気が覚めるが、またこれからもだらだら。何も見せ場はないものだろうかと思っていたら、事件が発生、仲間の一人が海に落ちる。でもみんなで助け出す。・・・それがどうした。
 監督のウォルフガング・ペーターゼンは所々に用意しているエピソードで盛んに活気立たせようとしている様子だが、ほとんどが空振りにフィルムを回転させているだけだ。唯一印象に残ったのは仲間の一人がおどけてオビワン・ケノービの真似をするところだけだ。見所がその一瞬だけとは寂しくないか。
 

●後半からやっと本編が始まる
 この映画の面白い所は、男臭いところである。失業中のしがない男たちが、一攫千金を夢見て、「よっしゃやるか」と一致団結し、ハリケーンがなんだの強靱な精神で突き進もうとする姿勢がかっこよく、泣けてくる。
 後半からようやく嵐が襲いかかり、やっと本編が始まるが、巨大な波のCGなど、かなりの迫力で、見応え十分である。波に飲み込まれそうになったり、船長室のガラスが割れたり、災難が次々と襲いかかるが、気合いでそれを次々と吹き飛ばして乗り越えていく精神は実に感動的である。ジョージ・クルーニーのタフガイぶりも手に汗握らせてくれる。
 久しぶりの男気みなぎる映画だといえる。
  

最後に一言:ペーターゼンは今後も商業主義一直線なのか?

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