スリーピー・ホロウ (レビュー)
Sleepy Hollow
★★★
<アメリカ/1999年/ホラー>
監督:ティム・バートン
製作総指揮:フランシス・F・コッポラ
出演:ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ、
ミランダ・リチャードソン、クリストファー・ウォーケン、クリストファー・リー
ストーリーのネタあかしはしていませんが、作風のネタあかしはしています。
●久しぶりに古典ホラー復帰
90年代前半は「ドラキュラ」「フランケンシュタイン」など、古典ホラー復活のニュースで盛り上がっていた。そしてまた今年、もう一つの古典ホラーが生まれた。この「スリーピー・ホロウ」である。首のない騎士が夜な夜な現れ、人々の首を切りとっては消え去るという怪奇談で、これはアメリカ人では知らない人はいないといわれるほど有名な話である。これを、ハリウッド一のオタッキー監督ティム・バートンが手がけることになった。
●マニアックな配役に注目
主演はジョニー・デップである。ティム・バートン映画にはもはや欠かせない存在になってきた個性派俳優であるが、今回もイメージにぴったりで、青白い顔色がなかなか良い。
で、驚くのがクリスティーナ・リッチである。前まで子役だったのが、今回は主人公の恋人役で出てきた。ずいぶん大人っぽくなったものだ。彼女は中世の衣装がよく似合う。
この映画は脇役のキャスティングも面白い。大御所が出てきたかと思うと、アッという間に殺されたりする。そこがいかにもティム・バートンらしい。市長役のクリストファー・リーは「吸血鬼ドラキュラ」であまりにも有名なホラー俳優である。
●悪趣味か?
この映画を見ていてつくづく思ったけど、ティム・バートンは演出が下手だなぁ。
冗長なシーンも多いし、血のりが顔にぴしゃっと飛び散る場面など、所々にあるちょっとした仕掛けも、まったく功を奏していない。CGを使った不気味な映像もあったが、例えば、ばあさんの顔から目が飛び出す場面など、ああもタイミングを踏み外せば本来の意味もなくなってくる。
悪趣味なほど、首が次々と切り落とされていくが、それがあまりにもあっけないせいか、何の驚きも緊張感もない。猛スピードで走る馬車のアクション・シーンも、映画を盛り上げるために、サービスで付け加えたという感じがしないでもない。
ストーリー自体が、大して面白くなく、謎解き映画のような展開にした点も、作品の格調を落とした。
なんだか、ティム・バートンの独り言映画みたいになってしまっている。もっとシンプルで、心に残りやすい、おとぎ話風の古風な作りにしてほしかった。
●中世の雰囲気が見所
しかしこの映画には、どうしても観客を引きつける魅力がある。
中世の様式美を映像化しているからだ。セットも衣装も素晴らしく、また薄暗い映像にしたことで、雰囲気もいい。
ストーリーはどうでもいいが、首のない騎士が走るだけで、それは画になっている。映画としての美学があるのだ。
最後に一言:見た目はいいのに、内容は低俗
★★★
<アメリカ/1999年/ホラー>
監督:ティム・バートン
製作総指揮:フランシス・F・コッポラ
出演:ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ、
ミランダ・リチャードソン、クリストファー・ウォーケン、クリストファー・リー
ストーリーのネタあかしはしていませんが、作風のネタあかしはしています。
●久しぶりに古典ホラー復帰
90年代前半は「ドラキュラ」「フランケンシュタイン」など、古典ホラー復活のニュースで盛り上がっていた。そしてまた今年、もう一つの古典ホラーが生まれた。この「スリーピー・ホロウ」である。首のない騎士が夜な夜な現れ、人々の首を切りとっては消え去るという怪奇談で、これはアメリカ人では知らない人はいないといわれるほど有名な話である。これを、ハリウッド一のオタッキー監督ティム・バートンが手がけることになった。
●マニアックな配役に注目
主演はジョニー・デップである。ティム・バートン映画にはもはや欠かせない存在になってきた個性派俳優であるが、今回もイメージにぴったりで、青白い顔色がなかなか良い。
で、驚くのがクリスティーナ・リッチである。前まで子役だったのが、今回は主人公の恋人役で出てきた。ずいぶん大人っぽくなったものだ。彼女は中世の衣装がよく似合う。
この映画は脇役のキャスティングも面白い。大御所が出てきたかと思うと、アッという間に殺されたりする。そこがいかにもティム・バートンらしい。市長役のクリストファー・リーは「吸血鬼ドラキュラ」であまりにも有名なホラー俳優である。
●悪趣味か?
この映画を見ていてつくづく思ったけど、ティム・バートンは演出が下手だなぁ。
冗長なシーンも多いし、血のりが顔にぴしゃっと飛び散る場面など、所々にあるちょっとした仕掛けも、まったく功を奏していない。CGを使った不気味な映像もあったが、例えば、ばあさんの顔から目が飛び出す場面など、ああもタイミングを踏み外せば本来の意味もなくなってくる。
悪趣味なほど、首が次々と切り落とされていくが、それがあまりにもあっけないせいか、何の驚きも緊張感もない。猛スピードで走る馬車のアクション・シーンも、映画を盛り上げるために、サービスで付け加えたという感じがしないでもない。
ストーリー自体が、大して面白くなく、謎解き映画のような展開にした点も、作品の格調を落とした。
なんだか、ティム・バートンの独り言映画みたいになってしまっている。もっとシンプルで、心に残りやすい、おとぎ話風の古風な作りにしてほしかった。
●中世の雰囲気が見所
しかしこの映画には、どうしても観客を引きつける魅力がある。
中世の様式美を映像化しているからだ。セットも衣装も素晴らしく、また薄暗い映像にしたことで、雰囲気もいい。
ストーリーはどうでもいいが、首のない騎士が走るだけで、それは画になっている。映画としての美学があるのだ。
最後に一言:見た目はいいのに、内容は低俗