シックス・デイ (レビュー)

The 6th Day

★★★

<アメリカ/2000年/SF>
製作・出演:アーノルド・シュワルツェネッガー
監督:ロジャー・スポティスウッド
出演:トニー・ゴールドウィン、ロバート・デュバル、マイケル・ルーカー

「PG-13」

●演出にキレはないけど、テーマは面白い
 最初に言うが、この作品は、駄作である。まず演出にキレがない。ゴースト効果や、スローなどを使って、今風にオシャレに作っている感じではあるが、アクション・シーンは安っぽいし、スピード感や重量感がない。シナリオも深いようで浅いし、どこかで見たような展開だ。前半部分では未来社会のイメージをオモシロ可笑しく表現しているが、レーザー光線で戦ったり、ホログラムのセクシー美女といちゃつくところが古くさく、もう少し想像力が欲しいところである。
 しかし少なくとも僕のハートには強く焼き付いた作品である。個人的な趣味になって申し訳ないが、僕はクローンを題材にした映画は大好きで、自分もそういうストーリーをいくつか書いたことがあったから、どうしても愛着を感じてしまうのである。
 この映画に出てくる組織の連中は、道徳観を持たずに、服を買うようにクローンを作る。連中たちは自分の体が傷ついたら、新しい服を買うように、新しい自分を作るのである。ここで注目すべきは、意識をデータとして自由に複製人間へと移植できるということ。クローン人間の意識はできあがったときには最新の状態に更新されているのだ。だから死ぬ直前の痛みまでも覚えている。今まで描かれてきたクローンがアナログな感覚だったのに対して、この映画のクローンはとてもデジタル的だ。また、今までの場合、クローンは自分と同じ姿をしているだけで、全くの別人だったのだが、この映画の場合は、クローンまでも自分そのものなのである。つまり永遠の命というテーマにも発展しているわけで、だからこそ悪役の連中は気兼ねなく自分の肉体を傷つけることができたのである。これは興味深い。
  

●シュワちゃんはほんとに素敵なパパです
 僕はシュワルツェネッガーの大ファンだ。彼はあまり演技について褒められることはないが、それでも僕はずっとシュワを応援している。
 シュワのいいところは、優しさである。「コマンドー」あたりから優しい役柄が増えてきたが、「素敵なパパ」という印象は僕としてはハリウッド一だと思っている。体がでかいから、愛情で包み込んでくれそうな感じがある。
 この映画の全体的な出来映えは、良くはないが、家族愛が描かれていることを考えると、とても好感が持てるのである。シュワの映画は家族愛で温かいのである。
 シュワは悲しそうな表情も好きだ。この映画では、偽物の自分が楽しそうにしている様を見てしまうシーンがあるが、このときの表情がなんと感動的か。ちょっと同情してしまうのだが、シュワの持っている家族への思いも表れていて、じんとくる。この映画がPG-13指定にとどまったのは、同作が愛に溢れた作品だったからではないだろうか。
 圧巻はシュワが実はクローンなのだとわかるシーン。このシーンのショックは大きい。表情は何とも言えない複雑なものである。監督もあえて大袈裟には描写しておらず、シュワのささいな顔の変化だけに委ねている。僕はますますシュワが好きになってきた。
 

最後に一言:主人公の名はアダム。意味深だなあ。

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