デイ・アフター・トゥモロー (レビュー)

 異常気象で地球全体が猛吹雪に見舞われるパニック映画。
 ローランド・エメリッヒは、「インディペンデンス・デイ」といいこれといい、同じような映画しか作れないという不当な評価を受けているが、僕はそんなエメリッヒが好きである。たしかにこれと「インディペンデンス・デイ」は似ているし、描かれているテーマも近い。しかしそのテーマは、しっかりとした土台と、普遍的力強さを持っている。良い物は何度見ても良いと思うように、「インディペンデンス・デイ」の感動を再びこれで味わうことができた僕は、最後までじっくり楽しませてもらった。

 エメリッヒの映画にみなぎっているものは人類愛である。「インディペンデンス・デイ」では、アメリカを大仰なほど美化してみせたが、人類がひとつに団結することを熱弁するシーンなど、アメリカ人でなくとも、魂を揺さぶるものがあった。「デイ・アフター・トゥモロー」も大統領が出てきて、いかにもアメリカ万歳といった感があるが、描かれている本質は、万人に共通する人類愛である。恥ずかしいくらい真面目に愛を賛美している。エメリッヒの作品を嫌う人は、こういう人類愛が鼻につくからなのだと思うが、ここまで度が過ぎると、僕の場合、かえって清々する。人類のほとんどが凍死したにも関わらず、最後には心地よい余韻を残すのもそのテーマの大きさゆえだ。ラスト、宇宙から見る地球の白い大地のなんたる美しさか。「愛こそはすべて」と大真面目に言える楽観主義者だけがわかる感動がここにある。

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:
デニス・クエイド
イアン・ホルム
(2004年アメリカ映画)

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