ビーン (レビュー)
Mr.ビーン、頭が悪くて、どうしょうもないワルで、しでかすことすべてがヤなことばかりなのに、どうしてかこいつは憎めない。この不思議な気持ちが、この映画のかなめ。モンティパイソンとかとは違い、ビーンの行動に毒を感じるのは、ビーン以外の人間がごくごく普通の人間だからだ。世界観全体がコメディ一色なのではなく、本作ではビーンたった一人だけがコメディで、他のみんなはシリアスなのである。シリアスの中に突如放り込まれるビーンの破天荒な行動が、危険なユーモアへと発展していき、ゲラゲラというよりは、ヒクヒク笑わせるこのセンスは圧巻である。この非道徳ぶりで、ラストにはなぜか気持ちよくさせられる。この感覚が不思議な魅力だ。