タイムマシン (レビュー)

僕はだいぶ前に特撮映画の祖ジョージ・パルが作った「タイムマシン」を見て、ひどくがっかりしたことがあったが、今回の「タイムマシン」は原作者H・G・ウェルズの孫が作ったとあって、あのような失望はなかった。特撮も進化しており、僕が一番見たかった部分(時間が経過していく様子)もうまく描けていた。僕の記憶では、ジョージ・パル版はナレーションの補足でストーリーを説明していたと思うが、今回は映像だけで見ての通り説明ができている。「とにかく映像を目で見て感じてくれ」というこの姿勢は、今風でいいかもしれない。でなければ原作には勝てないだろうから。猛スピードで360度展望が変化していく壮観のロマンは、素直に享受して頂きたいものだ。
数あるタイムトリップものでも、本作は元祖となっている小説の映画化であるが、元祖にして何百万年後の未来に来ていたというのはロマンチックではないか。未来社会のSF映画なんてものは、せいぜい100年~1000年後の未来が限度だが、本作は6億年後の未来まで見ることができる。まさに人間の想像を超えた未来である。他のSF映画と違い、人類の進化にまで手を加えた発想力たるや、H・G・ウェルズ様様である。それを映像化してみせようと頑張った今回の作品の勇気も買いたい。未来人の村の夜景のイメージ、あの衝撃は今も忘れられない。

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