ゴシカ (レビュー)

突然フィルムが切れたとしたら、びびるよな
一番面白いのは導入部。ホラー色を一切見せずに観客をじらした後、初めて飛び出す恐怖シーン。突然画面が燃え尽き、無音になる。これにはオイラも驚きました。これは観客に「ひょっとしてフィルムが焼き切れたんじゃないか?」と思わせるほどだ。しかもちょうど怖いシーンのところで焼き切れたように錯覚するので、「むむ、ここの映画館は呪われてるんじゃないか?」と更に想像は飛躍する。もはやオカルトの域である。ドラマの中の出来事を演出するのではなく、あたかも観客の周りで何か起きたように錯覚させる新手(あらて)の演出である。
美人女優を主演に起用し、日本のホラー映画「リング」の手法をそのままパクッた作品として売り出された嫌いがあるが、後半から謎解き映画みたくなってくるあたりは、むしろ「ザ・セル」と似た作りである。なかなかひねりは効いていて、きちんと完結させているところは評価したい。しかし、遠回しの演出でさんざん観客を振り回したあげく、やっと事件の真相に到達したときには、「それじゃあ前半のオカルトはいったいなんだったのか?」と思わせてしまうのである。現実と超現実を両立させたときに来やすい「しらけ」はこの作品も拭えなかった。

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