愛しのローズマリー (レビュー)

トドのつまり、外見でみるか中身でみるか
 アメリカ映画が最も得意とするジャンルのひとつに、ハートウォーミング・コメディがある。これは僕が最も好きなジャンルのひとつでもある。アメリカにはこの手の映画が沢山あるが、形だけそれっぽく作ってはいるものの、内容がしっかりと伴った傑作というのは少なかったのが現状である。しかし、「愛しのローズマリー」に関しては、見終わった後も色々と自分の人生観について真剣に考えさせるものがあり、久しぶりに見応えのある傑作だった。
 この物語の主人公は、いつも外見でしか物事を判断できない浅はかな男だ。そんな彼は、催眠術をかけられて、心の中身が外見となって見えるようになる。つまり、どんなに醜い人でも、その心が美しければ絶世の美女に見えてくるし、どんなに綺麗なお姉さんでもその心が醜ければ魔女のように見えてくるってわけ。そこに現れた絶世の美女に彼は一目惚れ。しかし彼女の本当の姿はブクブクのデブだった。彼女の本当の姿を知ってしまったとき、はたして彼は彼女のことを愛せるか?というお話だ。
 まあ、外見よりも中身を見ろというお話なのだが、はっきりいってこの主人公はもともとはグウィネス・パルトローの外見的な魅力に惹かれているわけだから、このテーマはいささか強引に見える。しかし心の中身が外見になって現れるという設定は単純に面白く、それまで全くモテたことのなかった主人公が、他人に心から愛されていくところも見ていて気持ちが良い内容だった。これはその後の「スクール・オブ・ロック」にも通じている。ジャック・ブラックは僕にとってはかなり好感度の高い俳優だ。
 また、主人公が他人のことをどうみているかということ以上に、主人公が他人からどのように見られているのかということにもウェイトを置かれている点も高く評価したい。後半でかつて主人公を振った美女に逆に言い寄られるところなど、なかなか嬉しい展開だ。その誘いをはねつけてしまうほど、愛の力ってのは大きい。ラストシーンの「すごく綺麗だ」のセリフは、わかっていながらもじんと感動させられる。この終わらせ方は、全く差別的でなく、ストーリーの上で考えられる最良の選択だったと思う。
 余談だが、この映画の中のグウィネス・パルトローは本当に綺麗だ。昔から彼女のことは好きだったけどこれは別格。「スライディング・ドア」以上の魅力。スタイルもいいし、服装もとっても可愛くて、性格も良くて、こんなに素敵な女性を見たのは僕も生まれて初めてだ。僕も恋しちゃいました。…って言うと作品のテーマに反するか。

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