G.I.ジェーン (レビュー)

デミ・ムーアが海軍に入るという強烈なるフェミニズム映画。大きく分類して三部構成で、第一部は猛特訓編、第二部は政治問題編、第三部は戦地実践編である。おもしろいのは第一部。丸刈りはまだまだ序の口、すごいのはどんなに殴られても蹴られても立ち上がるすさまじさ。フェミニズムがときとしてマゾヒズムと勘違いしてしまうほど際どいシーン多し。どんなにひどい顔になってもデミが美人のままであるところに、彼女なりのスターの意地を発見できる。
政治家を演じたアン・バンクロフトもよく、二人のフェミニストのぶつかりあいは男性の目にも興味深い。
これまでにも軍隊の訓練風景を描いた映画はあったが、この映画ほど厳しさのある映画はあるまい。訓練所での鐘の描き方は映画話術のお手本といってよく、音が心理描写を兼ねるうまい演出である。
ただ、第一部が鬼気迫る内容だったため、第三部の実践編となるとあの孤独感がなくなって幾分か興醒め。ラストは妙に「ブラック・レイン」に似てる。

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