オープン・ユア・アイズ (レビュー)

映画を作るとき、正統派で見せるか、違う切り口で見せるか、それは作り手の自由である。本作の監督アメナバールは、後者の部類に属する人で、ストーリー構成の基本を裏切って、本作を不思議な感覚のSF映画に仕上げた。いや、ここでSFと言ったのはまずかった。この監督は本作がSF映画であることすらも隠しているからである。まずは普通にインタビュー形式のサスペンス映画として描いているのだが、しだいに不思議な感覚を見せていって、だんだんとストーリーを現実から切り離していき、ようやくラストで本作がSF映画だということを観客に気付かせる。これは実に大胆な見せ方で、これほど構成を根っこから裏っ返してしまった映画も珍しいだろう。まだ監督が素人ぽいせいか、演出に少し締まりがないが、着想の意外さはおおいに認めるべきである。この監督の期待は大きい。これからどんなマジックを我々に見せてくれるのだろう。

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