耳をすませば (レビュー)

ジブリスタイルに狂いなし
 スタジオジブリ節が炸裂する究極のスタイル・アニメ。本作のストーリーは、ジブリというそれまで同社が培ってきた様式の中から自然と生じてきたもののようでさえあった。つまり、ジブリが、自ら伝統的な自分スタイルをここに誇示し、純粋にスタイルだけをもって一本の映画をでっちあげてしまったわけだが、この映画が最後まで見ていられることを思うと、内容を別としても、ジブリの様式がどれだけ手堅いものか、再認識させられる一本である。
 主人公二人が、図書館であれだけ沢山の大人向け文学を嗜みながら、少しも性的好奇心にかられないところなど、嘘みたいに清らかすぎて、普通なら「子供向け」で片づけられてしまいそうなところを、それがジブリなら平気で許せてしまう。これがジブリ・マジック。

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