ディープ・インパクト (レビュー)

Deep Impact

★★★★1/2

<アメリカ/1998年/120分/SF>
監督:ミミ・レダー/音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:イライジャ・ウッド、ティア・レオーニ、モーガン・フリーマン、
ロバート・デュバル、バネッサ・レッドグレーブ、マクシミリアン・シェル

作風のネタをあかしています

●災害映画の決定版
 90年代後半は、ノストラダムスの影響だったのだろうか、20年ぶりの災害映画・パニック映画ブームといってよく、ハリウッドだけでもこの手の映画が多量に生産されたが、その中で出色といえる作品は、「ディープ・インパクト」であろう。
 隕石落下映画、あるいは人類絶滅映画は、過去に商業的目的か、はたまた作家的趣味でいくつか作られたことがあるが、一部を除けば、どれも思い切りSFチックで、稚拙な発想のものばかりだった。
 ところが、「ディープ・インパクト」はどうだろう。隕石落下を目前にしての人類たちのシチュエーションなどが事細かに計算されており、実に深刻さが伝わる。まさしくこれはSFを超越したリアルな映画である。ゆえにラストも微妙な冷たさを持ったハッピーエンドに終わらざるを得なかったのだ。
  

●豪華キャストによる群像劇
 この映画は一種の群像劇である。だから主人公が何人も登場するが、出演者陣の顔ぶれがマニアック精神をくすぐる。
 豪華キャストで、4・5種類のエピソードを同時進行させているが、ロバート・デュヴァルの「隕石破壊計画」、モーガン・フリーマンの「人類保存シェルター計画」、などなど、それぞれのエピソードがひとつの短編映画にしてもいいような出来映えだ。これらのエピソードでは、ハリウッド黄金時代の売りである「家族愛」が、何度も取り上げられ、深く感動できることだろう。
 ちなみに、アナウンサーの両親役は、何と知る人ぞ知るマクシミリアン・シェルとバネッサ・レッドグレーブである。随分とお顔が老けてしまったが、彼らが出演したことで、この映画の格もぐんと上がった。
 

●驚異的グラフィック
 ストーリーはシリアスであるが、それでいて、この作品には素晴らしいエンターテインメント性も備えている。隕石落下の映像の迫力は尋常ではなく、当然今までで最強である。津波の高さも画面からはみださんばかりのものだし、その巨大津波が猛突進してくる様を見たときには何が何でも開いた口が塞がらなくなってしまう。この規模のでかさと豪快さこそ、今までの隕石映画の壁をぶち破る強力なる仕掛けだ。その点では「インデペンデンス・デイ」のUFOと共通するかもしれない。
 この作品と同時期に「アルマゲドン」も公開されたが、2つの映画のポスターやCMを比べてみると、明らかに作品の着眼点が異なることに気付く。「アルマゲドン」の方は、先ほど述べたように「思い切りSFチック」という従来のパニック映画の枠から越えられなかった。なのに大衆が見た目で「アルマゲドン」の方を取ったことには、僕は怒りを抑えきれないのである。

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