U-571 (レビュー)

★★★★1/2

<アメリカ/2000年/戦争>
監督:ジョナサン・モストウ/撮影:オリバー・ウッド
出演:マシュー・マコノヒー、ハーベイ・カイテル、
ビル・パクストン、ジョン・ボンジョヴィ

【PG-13】

●とことん驚かせてみせようじゃないか
 この監督ジョナサン・モストウって奴は、かなりヤルね。前に「ブレーキダウン」見たときにはとことんエンターテインメントを追求していて、感動させられたが、続く第二作でもまたやってくれた。こやつは期待の新人監督である。見せ場はたっぷりだし、とにかく僕らをアッと言わせようと意気込んでいる才気が伺える。
 お偉いさん方は、「男たちが団結することは美しい」とか「迷わずにはっきりと決断することは大事」という風に、この映画から勝手に教訓を学んだり、メッセージ性を主張したりする傾向があるが、そんな堅いことは関係なく、同作は純粋に映画の格好良さを楽しめる豪快な一本である。ハリウッド映画にはメッセージは必要ない。必要なのは観客を楽しませられるかってことである。
  

●僕はこの手の男くさい映画に弱い
 僕はこういう女ッ気の全くない男くせぇ映画を見ると、つい高得点を付けたくなってしまう。なんといってもこの映画はとにもかくにもカッコイイ体感映画だ。命よりも勝利を大切にする男たちのロマンがある。数ある戦闘シーン、爆撃シーンは、大迫力で、全編派手なアクションと緊張のサスペンスを代わる代わる見せて、息つく暇もないが、潜水艦の外側の映像と内側の映像のクロスカッティングも見事で、細かい演出は冴え渡っており、魚雷が潜水艦を掠めるシーンや、機内が少しずつ浸水するシーンの興奮は、大いに冒険心をかき立てる。またそれがいかにもハリウッド的な期待通りの展開でありながらも、少しもわざとらしさを感じさせず、静から動、動から静という具合に意表を突いている。ひとつひとつのアイデアが洗練されている。それは、スティーブン・スピルバーグやジェームズ・キャメロンのストーリーテリングを彷彿とさせる。ジョナサン・モストウ・・・、こやつの名前は覚えておく価値がある。

 ところでついでだけど、なんでしょっぱなにドイツ軍をああも長々と魅力的に描いたのだろう・・・? これはアメリカ軍に捧げる映画じゃなかったの?
  

最後に一言:ハリウッド版「U・ボート」

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