ランド・オブ・ザ・デッド (レビュー)

生みの親、面目躍如
 時期的にどうしても「ドーン・オブ・ザ・デッド」と比較してしまうが、「ランド・オブ・ザ・デッド」はきちんとした「ゾンビ」シリーズの続編とあって、全体的に本家らしさが際だった内容に見えた。「ドーン・・・」も僕の大好きな映画だが、あれは「ゾンビ」シリーズに属さない独立した新作として作られていた。2作の大きな違いはゾンビが走るか走らないか、人肉を食うか食わないかである。「ドーン・・・」はゾンビが走るところが恐怖の見せ場であったが、本家「ランド・・・」のゾンビはのそのそと歩き、そばにいても気配がないところに怖さがある。真っ暗の部屋、誰もいないかと思いきや、懐中電灯で照らしてみればゾンビがうようよ。ちょっとよそ見をしていたら、避ける暇もなく噛まれているし、少しでも噛まれればそこで人生は終わり。そんな緊張感が、さすがは本家ゾンビらしいところ。「ドーン・・・」でゾンビの定義を一新された直後に、65歳となるベテラン、ジョージ・A・ロメロはゾンビのお手本を叩きつけ、ひたすらに人肉をむさぼり食う映像を見せつけたところに、生みの親としてのかたくななコダワリを見ることができる。ゾンビのうちの一人がシーザー的な指導者となるところだけはゾンビ・シリーズの格調を落とすようで僕はあまり好きではないが、ともかくロメロがそれまでのシリーズを通して、人間とゾンビが共生する世界観を築き上げた功績はいまだに大きく、「ランド・・・」でもその世界観はラストシーンまで一貫して守り抜かれており、僕は大変気に入った。

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