南極日誌 (レビュー)

子供の頃は夜が怖かった。これと同じ様に。
 南極の到達不能点(どの海岸線からも最も遠い地点にある一点)を目指す6人の探検隊が、極限状態に追いつめられて、しだいに気が狂っていく様をホラー映画のタッチで不気味にミステリアスに描いた映画。
 これは、探検隊がいかにも何かありそうな日誌を発見してから、一気に怖くなっていくが、この日誌を子供だましと捉えるか、それとも「ロード・オブ・ザ・リング」に出てくる指輪のようなものとして捉えるかで、この映画の評価は分かれるだろう。
 僕も今まで色々な映画を見てきたが、これほど背筋が凍りつくような思いをしたのは初めてだ。一人で映画を見ることがこれほどにも怖かったとは。なぜ舞台に南極を選んだのかもよくわかる。南極は、白くて綺麗な自然というイメージがあるが、この映画の中の南極は、そのような美しいものではない。白い雪、雲ひとつない青い空、それはまるで吸い込まれていきそうなくらい、冷たくて、恐ろしい映像に見える。探検隊が幻覚を見るところなどは、ジャパニーズ・ホラーで有名な川井憲次の音楽も手伝って、深く意味を考えさせるまでもなく、純粋に本能に訴える怖さがある。本能的ゆえに、それがどう怖いのか、説明するのは難しいが、とにかくその得も知れぬ恐怖感に僕は体がぶるぶる震えてしまった。子供の頃は夜が怖かったが、それと同じような怖さと不安感がこの映画にはあった。
★★★★1/2
(2005年韓国)

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