スペース・ステーション (レビュー)

■狭い室内の映像にこそ立体感がある

 アイマックスは他の映画会社とはだいぶ違う方面から大衆を楽しませてくれる。作品数はまだ100本くらいだが、公開された作品はどれも個性派ばかりで、ある意味高級ブランド化してきたように思える。アイマックスの映画はストーリーが珍しいというわけでもなく、かといってスターが出ているというわけでもないが、とにかくスクリーンの巨大さにたまらない魅力がある。

 「スペース・ステーション」は数あるアイマックス映画の中でも傑作の部類に入る一本である。アイマックスは以前から宇宙物を積極的に作っているようだが、3D映像は今回が初めてである。今までのアイマックスの宇宙ドキュメンタリーが、宇宙空間から望む地球の美しい映像を見せることがメインだったのに対し、今回はステーション内のありのままの日常をスケッチ風に捉えることがメインである。
 宇宙空間なので、彼らと我々とでは生活スタイルがかなり異なる。そのギャップが興味深く、彼らがどのようにして眠り、どのようにして食べ物を食べるのか、などの素朴な疑問が好奇心を刺激させる。空中にふわふわ浮かんでいる水のかたまりをパクリと口の中に入れて飲みこむ様子や、読書をしながら髭を剃る様子など、のんびりしていて愉快なシーンが多い。
 ステーションは地球上の家と比べると、かなり狭いのだが、その狭さが奥行きを強調させて、驚くべき立体映像になっている。3Dというものはよく「飛び出す映像」と言われることがあるが、本作ではまさに「ありのままの映像」と表現した方がいいだろう。日常風景をありのままに撮っているからこそ、巨大立体スクリーンの持ち味も活きたのである。

2002年/アイマックス映画

<ナレーター>
トム・クルーズ
(日本公開版には出てきません) 

(第104号「レビュー」掲載)

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