ロスト・ワールドジュラシック・パーク (レビュー)

正しい続編の作り方
 スピルバーグがのりにのっていた時期に作った「ジュラシック・パーク」は「最初の良くできたCG映画」といわれるほどに、それはもう非の打ち所のない傑作だった。その傑作にわざわざ続編を作ってやろうというのだから、スピルバーグはよっぽどのバカかと思った。続編というものは大抵が外れるものだからだ。しかし、僕はその続編「ロスト・ワールド」の内容を見て、スピルバーグを見直した。サクッとこれほどの傑作を作るとは天才である。「ロスト・ワールド」はもう何度もテレビ放送しており、僕は放送されるたびについつい見てしまうが、なぜか何度見ても満足感がある。これが感心させられるのは、これがいわゆる「続編物」でありながらも、あれやこれやの工夫を重ねて、そのハンデを見事に克服していることだ。
 僕が映画館で「ジュラシック・パーク」を初めて見たときは、映画館中から悲鳴が聞こえてきたものである。映画館であんな光景は二度と見ていない。あのCG映像はセンセーショナルだったと思うし、エポックメーキングだったと思う。だからこそ、2作目で恐竜のCG的迫力を見せつけたところで、新鮮味はない。それはスピルバーグもよくわかっていたようで、この続編を見てみると、前作のようなCG映画を作ろうとはしていないことに感心させられる。前作ではCG自体が見せ場であったが、今回はCGは映像表現方法のひとつとして当たり前のように平然と取り入れているところが潔い。見せ方を一工夫し、大胆発想で思い切って舞台を飛躍させ、町中で大暴れする恐竜のイメージを迫力の映像で形にしたことで、1作目とはまた違った新しい刺激をもたらすことができた。
 そのシナリオはウィリス・H・オブライエンの同名映画「ロスト・ワールド」からの借用ともいえるが、CGが発達した現在、オブライエンと今作とでは比べてみると一目瞭然、ボリューム感が違う。同じ内容でもそのイメージはかなり鮮烈に目に映る。映画はこんなにも進化したのだ。
★★★★
(1997年アメリカ)
監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:マイケル・クライトン

出演:
ジェフ・ゴールドブラム
ジュリアン・ムーア

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