シンデレラマン (レビュー)

正攻法スポ根ヒューマン・ドラマ
 かっこいい。最後まで何のひねりのないまっすぐなストーリーに素直に感動した。ハリウッドが忘れかけていた40年代前後の黄金時代を思わせる正攻法のサクセス・ストーリーである。ジャンルはスポ根である。スポ根こそ、正攻法の構成がもっともしっくりくるジャンルはあるまい。夢を追いかける主人公と、それを見守る妻、心の支えとなるトレーナーと、血も涙もない対戦相手。この主要登場人物4者の関係がわかりやすく、人物描写もストレートで気持ちが良い。とくに「サイドウェイ」で高く評価されたポール・ジアマッティは一番のハマリ役である。ひねりがない分、感情移入しやすく、何度も登場人物の気持ちになって一緒に共感しながら見ることができる。戦っているときは本気で「がんばれ」と心の中で応援してしまうし、勝ったときはまるで我がことのように飛び上がって喜んでしまう。まともに喰らうと死ぬであろう対戦相手の強烈なパンチ力は、直視できないほど恐ろしいものに見えるし、こんなやつと戦うのかと考えただけで心配で心配で、落ち着いていられなくなる。対戦中は、始終「どうなるのだろう」とドキドキしながら見てしまった。こんなに映画を見て熱くなったのは久しぶりなので、友達にも胸を張って推薦できる一本だ。

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