イーオン・フラックス (レビュー)

原作アニメの良さを何もわかっとらん!
MTVのアニメーション「イーオン・フラックス」の実写映画化作品である。アニメ版は、本当に大傑作といえる作品だが、こちらの実写版の方はお粗末な出来栄えに終わってしまった。アニメ版のファンが怒る顔が目に浮かぶ。僕自身アニメ版の大ファンだったので、あえて比較させてもらうが、この実写版が失敗した理由は、アニメ版にある崇高さが微塵も感じられないことだ。アニメ版の設定はある程度借用しているけれども、アニメ版の救いようのない未来の荒廃した管理社会の世界観と比べると、実写版の方はセットにお金をかけている割には、ただデザイン性だけかっこつけているだけであって、生活感など何もなく、観客には訴えかけるものがない。また、極力説明をせず、作品の解釈を視聴者に委ねたアニメ版と違い、実写版は説明が多すぎるため、何が起きても安っぽく感じてしまう。トレバーとイーオンの関係についても実写版では無理矢理関係に意味を持たせてくれたせいで子供だましのレベルに落ちた。また、死に対しての哲学感がアニメ版と比べて実写版は薄弱すぎる。こうなると、見どころといえばシャーリーズ・セロンのアクロバチックな演技だけとなる。アニメ版ではムチムチハイレグのナイスバディだったのに、実写版では胸のないセロンが全身タイツで胸をはって演じてくれているが、意外とセロンはアニメ版イーオンにそっくりだったのが今回唯一の収穫である。色気はないが、悲しげな声が似ている。このセロンの仕事っぷりだけは買いたい。

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