BROTHER (レビュー)

僕個人的には、たけし映画では一番のお気に入り。なぜって、よくまとまっているからである。本作には独創性はない。しかし以前の作品に見られた奔放な遊びは洗い流され、スタイルだけがしっかりと残されている。来るところまで来たたけしのプレーン映画である。演出的な自由度には欠くが、たけし流の時間カットは更に洗練され、見せ方もじっくりと練られているために2時間の映画とは思えない濃厚なボリュームである。ヤクザ映画なのに派手なアクションシーンがなく、見せ方はいたって地味だが、それが逆に血なまぐさく、静かな空間にけたたましく響きわたる何発もの銃声が、ときとして美しくもあり、快感でさえある。銃口からたちのぼる煙にゆっくりと浸る映画である。

オリジナルページを表示する