ロバート・デ・ニーロ (今週のスター)

これからもひたむきに役者バカでいて欲しい
 偉大すぎて、紹介するのが恐れ多かった俳優だ。すでに現時点でも出演作品は50作品を軽く超えている。タイトルを並べて見ると、ギャング役からパパ役から障害者役、コメディもアクションもホラーも、アニメの声までなんでもござれで、イタリア映画もアメリカ映画も、この人は演じたことのない役なんかないんじゃないかとさえ思う。その点では一昔前でいうマーロン・ブランドにも近い才能なんだけど、デ・ニーロはこれからもじゃんじゃんジャンルの幅を広げていきそうな勢いを感じさせる。どん欲に色々な映画に出て、そうして人生経験を積んでいく感じだ。また彼ほど中身から外見まで役になりきる俳優も珍しい。デ・ニーロ・アプローチとは言うけれども、これは尊敬の意味もこめつつ、彼の役者バカぶりを半ばからかった言葉でもある。「レイジング・ブル」(80)の体重操作ぶりなど、もはや伝説的である。役のために普通あそこまでクソマジメにはなれんぞ。
 この記事を書いている時点では「ハイド・アンド・シーク」(05)が一番新しいけれど、作品自体はしょうもないホラー映画と言われても仕方がないかもしれないが、しかしデ・ニーロの演技力が作品の価値を高めていたのは確かだ。彼の鼻息づかいはいつもながらうまい。デ・ニーロ様々。役者冥利に尽きる。
 僕の友達はかなりのこだわり派だが、彼がまたデ・ニーロの大ファンで、「タクシードライバー」(76)でデ・ニーロがモヒカンになった時とそっくりの服を持っているくらいだ。彼ほどのこだわり派がここまでデ・ニーロに入れ込むくらいだから、いかにデ・ニーロが男達から好かれているかわかるというものだ。僕は嫉妬心が強い男だったためか、人気のある人はどうしても好きになれなかったため、友達に「僕はデ・ニーロは嫌いだ」と言ったことがある。あれは僕のひがみ以外のなんでもない。デ・ニーロは男が嫉妬する俳優ってわけだ。僕自身、「タクシードライバー」のデ・ニーロの存在感は本当に凄いと思った。それから「フランケンシュタイン」(94)で特殊メイクして怪物役をやったときには僕もその役者としての熱意に負けた。みんなが尊敬するのも今ではよくわかる。

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