レニー・ゼルウィガー (今週のスター)

負け犬女は、女性客の味方
 しっかりと主役をはれるだけの実力がある女優が最近増えてきたような気がする。ニコール・キッドマンやリース・ウィザースプーン、そしてレニー・ゼルウィガーだ。主役級ともなれば、ギャラの額も相当なものであろう。それなりに駄作がないのは、女優が良ければ映画も良くなるという証だ。
 レニーは、「ザ・エージェント」(96)で有名になる以前から色々な映画に出ており、人気が出てからはますます出演作が多くなってきた。
 まずは「ブリジット・ジョーンズの日記」(01)、これだけでも見て欲しい。レニーの独壇場である。ストーリーがどうとかカメラがどうというよりもレニーの演技が作品の価値を決めている。彼女の独白による<心の声>が最高におかしく、感動的である。これを見たらレニーは天性の才能を持つ女優なのだとわかる。
 同作はイギリス人女性のハートを掴んだイギリスの人気小説が原作で、レニーはこの映画化にあたり、今ハヤリの<負け犬>女性のイメージの固まりともいえる役柄を演じなければならなかった。なぜアメリカ人にイギリス人をやらせるのかと関係者から不満の声があがりながらも、彼女は大成してみせた。イギリス訛から、イギリスの生活感その他もろもろを頭にたたき込みつつ、彼女のその演技は世界共通の輝きがあった。
 僕は本当に優れた女優と言われるには、女性客から共感してもらえるか否かにかかっていると思う。レニーのこの<心の声>は女達を鷲づかみにしたことだろう。よくわからない女性の私生活の実態。女が頭の中で何を考えているのか。同作は男性が入り込む余地がないほど赤裸々で、男としてもかなり考えさせる映画だ。
 彼女は体重を自由自在に操る女優でもある。「ブリジット」であんなにぽっちゃりしてたのに(けどそこが可愛い)、ブロンドがまぶしい「シカゴ」(02)ではすっかり痩せていた。かと思うと「きれそうなわたしの12ケ月」(04)ではまた得意げに太ってみせた。
 また、彼女には他の女優にない個性がある。細い目、ぽちゃっとした頬。イモくささ。やはり女優に必要なのはこういったものである。完全な顔立ちの美人じゃダメである。レニーのように一癖なくちゃいかん。
 ところで、彼女のインタビューの映像を見たことがあるだろうか? かなり笑い上戸で、オバカっぽい。それが取り柄なんだろうけど、普段からあんなに明るい人なんだろうか。

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