リーアム・ニーソン (今週のスター)

悩ましげな表情
 独特の立ち回りで、「スター・ウォーズ/エピソード1」(99)ほか、なぜかファンタジー物やSF物の出演作品が多いリーアム・ニーソン(あっけなくやられるのが気の毒だが)。僕が初めて彼の存在を知ったのは、「シンドラーのリスト」(03)だった。僕はこの映画で、全くの無名俳優を主演に起用したものだと思ったが、本当はすでにある程度名前が知られていた。とはいっても、「シンドラーのリスト」が彼のキャリアを保証する大傑作となったことは間違いなく、そこから彼の役の幅も飛躍していったように思える。僕も、モノクロで見るリーアム・ニーソンの悩ましげな表情が強く心に残っている。「マイケル・コリンズ」(96)その他有名監督の作品や、「ロブ・ロイ」(95)、「レ・ミゼラブル」(98)といった大作の出演が多いのも、「シンドラーのリスト」の成功があってこそだろうが、もともと雰囲気のある俳優なので、遅かれ早かれ、今のような地位は獲得できたと思うのである。あの悩ましげな表情は、良い意味でかつてのロナルド・コールマンやライアン・オニールにも通じるし、脇役でも見せるところは見せてくれる役者だ。メロドラマ的な役柄や、シリアスな役柄をやらせたら素晴らしい演技を見せるが、案外コメディでも食べて行けそうな気がする。
 ところで、「シンドラーのリスト」以前の作品では、「ダークマン」(90)が断然オススメだ。これはリーアム・ニーソンの主演第1作でもある。体中大やけどをおい、皮膚の感覚がなくなった男が、自分の発明した人工皮膚(光をあびると駄目になる皮膚)で作ったマスクをかぶって、闇夜をうろつきながら、復讐するホラー映画。彼の悩ましげな表情といい、物悲しい映画だった。この物悲しさが彼のトレードマークなのだと僕は思う。

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