アーネスト・ボーグナイン (今週のスター)

かっこいいスターの時代は終わった
 トラックの運ちゃんから映画俳優へ。デビュー当初はいかつい顔を活かして、悪役で名を売る。テレビドラマの映画化作品「マーティ」(55)で純情派恋愛青年を好演したのは例外として、やはりボーグナインといえば、一癖ある個性派アクション映画が似合う。
 役柄的には、頭は悪いが力があるパワー系のキャラクターが多く、海賊版テイストの西部劇「ヴェラクルス」(54)、砂漠のど真ん中に不時着した飛行機の乗組員たちのサバイバルを描く「飛べ!フェニックス」(65)、前科者たちが活躍する戦争映画「特攻大作戦」(67)、車掌と無賃乗車王の戦いを描いた「北国の帝王」(73)など、とくにロバート・アルドリッチ監督の男気あふれる作品でその才能を発揮し、アルドリッチ映画ではすっかりおなじみの顔になっていた。 「ワイルドバンチ」(69)、「コンボイ」(78)と、サム・ペキンパーの作品も人気が高い。アクション映画はアクション映画でも、ボーグナインの映画は、汗臭く、血なまぐさいところがいい。ボーグナインだからこそそれが様になっている。出ただけで迫力があるし、怖い役は本当に怖く、優しい役は本当に優しそうだ。これも才能である。もはやかっこいいスターの時代は終わり、ボーグナインのような個性派が受ける時代になった。
 他には「ポセイドン・アドベンチャー」(72)、テレビシリーズ「エアウルフ」(84)なども知られている。80歳になっても「ガタカ」(97)に出演するなど、俳優人生まっしぐら。元気なじいちゃんである。

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