インド映画界唯一の女性監督ファラー・カーンが来日
3月16日(土)、渋谷のシネマライズにて、インド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』が公開初日を迎え、インドからはるばる日本にやってきたファラー・カーン監督が舞台挨拶に立った。
インド人は世界一映画が好きな人種と言われている。インド映画界は「ボリウッド」と呼ばれているが、その年間の映画製作本数は1000本に及び、アメリカや日本と比べても3倍以上、もう何十年も昔からぶっちぎり世界一の映画大国の座を長年守り続けている。これがなかなか日本に入ってこないのが残念であるが、美男美女の豪華絢爛な歌と踊り満載、最後には必ずハッピーエンドになるボリウッド映画のこの素晴らしさは、文句を言う前に黙って見よ。日本にも熱心なファンが多く、一度見れば癖になること間違いなしだ。
『オーム・シャンティ・オーム』は、そんなボリウッドで、2007年公開映画1000本の中で栄えある頂点に立った作品である。日本円にして36億円を稼いだ大ヒット作だ。これを監督したのが、来日したファラー・カーンである。元は振付師、現在ボリウッドのメジャーシーンではただ一人となる女性監督である。
「ナマステ」と言ってファラー・カーン監督が登場すると、もう会場の熱気がとにかくすごいこと。ありえんくらいの大歓声である。さすがはボリウッド。というのも、ボリウッドでは「マサラシステム」といわれる上映方式があり、観客は映画をみながら一緒に歌ったり踊ったりできるのである。みんなそののりで舞台挨拶を楽しんでいた。現在公開中のシネマライズとシネ・リーブル梅田では金曜日に「マサラシステム上映」を行うという。サリーなどインド風の格好で3人以上で見にくれば特別割引で1000円で鑑賞もできるから、友達と映画館ではっちゃけに行くのも乙なものだろう。
監督は「日本に住みたいと思いました。日本人がすごく親切にしてくれたので、インドに帰って伝えたいと思います」というと、もう通訳が訳す前から拍手喝采。さらに「次の映画も日本で上映したい。今度は日本人にも出てもらいたい」と語るとまた大歓声だ。
司会者も「監督にぜひ踊りをレクチャーしていただきたいのですが」と言われると、監督はもちろんといった表情で、観客全員の前で「ワン・トゥー・スリー」と歌いながら踊ってみせた。司会者も通訳もインド大使も監督と一緒に踊って客席は暖かい空気に包まれていた。(澤田英繁)
2013/03/20 21:56