『藁の楯』、日本映画でここまでできるのかという驚き

『藁の楯』

3月13日(水)、三池崇史監督作『藁の楯 わらのたて』の記者会見が都内で行われ、主演の大沢たかおと、松嶋菜々子、藤原竜也、三池監督が登場した。

『藁の楯』は、木内一裕の同名小説が原作。10億円の懸賞金がかけられた凶悪犯の身柄を福岡から警視庁に移送する任務を負ったSPたちの戦いを描くアクション・サスペンス映画である。記者会見には、警視庁にちなんで、霞が関の警視庁がすぐそこに見えるパレスホテル東京がその会場に選ばれた。

大沢は、「今まで見たことのないようなスケール感と重厚感。日本映画でここまでできるのかと驚きました。これほど手足を縛られたような感覚で仕事をしたのは初めてだったし、今までないような経験をやらせていただいて、役者冥利につきる時間でした。三池監督とは初めて一緒に仕事をしましたが、ずっとご一緒できる機会を待っていました。監督は自分で芝居をされてやっていただくんですけど、それがうまいんで、それが微妙にプレッシャーになりました(笑)。スタッフと出演者が高いハードルを超えて作った作品です」と語った。

「動きとか見た目とか喋り方とか屈強な男性に見えるように努力しました」と語る松嶋は、本作では髪を切ってショートヘアでの演技に挑戦している。松嶋は、「監督は”ガーンとなってゴーンとなる”というイメージで熱く語っていたんですけど、まさにその通りの映画です。映画というのはチームで作っているのですが、三池組はお互いを信じあって、監督が”次はバンだから”というだけで”ハイ”といってみんなが動くのが素晴らしくて、監督もすごく現場の雰囲気を良くしてくださるというか、”明るく楽しく仕事はしようぜ”という感じがすごく感じられまして、楽しくやらせていただきました」と語っていた。

三池監督は、「超人たちを撮ってるという楽しみがあるんですよ。撮っていて喜びを感じる人たちで、どの人も撮っていて本当にワクワクして、監督として何をしたのかあまり記憶がない。松嶋さんは、真夏の炎天下のアスファルトの上に寝っころがって演技するシーンがあって、心配していたら、”大丈夫です。仕事をしながら岩盤浴をしてる感じです”と言ってくれて、すごい人だなと思った。マイナス点も考え方で切り替えるという」と語った。

藤原も「松嶋さん、ものすごく綺麗でした。物凄く暑い時に誰もいない山の中で、よく耐えたな、よく向き合ってるなと思いました。僕は日本全国民を敵にした役なので、ちゃんと松嶋さんに謝りながら撮影しました」と語った。

三池監督は、本作について、「監督のこだわりというのは結局監督のエゴになっちゃうから、できる限り自分はフラットで、原作者の思いとか演じる人たちの思いとかスタッフの思いとか吸収する立場になればいいんだなと思ってやりました。その中で一番大きかったのは、木内さんは”本当はこういう映画を見たいんだ”という思いが小説を生み出したのだと自分は解釈したので、ある意味日本映画に対する挑戦として書かれた小説ですから、木内さんががっかりしないよう、我々のできる方法で突き進みました。それが今回の自分の中のテーマなんです」と語った。

記者から「ハリウッドを意識をしているのか?」という質問があったが、三池監督は「ハリウッドは好きですけど、ハリウッドに行って映画を撮りたいとはあんまり思わないですね。ハリウッドって大変じゃないですか。その中で競争して生きていってのしあがっていくということに10割ある中の8割を使って、残りそれで得た権利2割で映画を使ってる感じなので。日本で映画を撮る場合、8割くらい映画の中に集中できるので、日本映画の世界で生きていくという苦しさというのは、自分たちが我慢すればいいことなので。意識してるといえば意識してるかもわかんないですけど、ただお金を沢山もらえるらしいので、一回くらいやってみてもいいかなと思っています」と回答した。

また、「もし10億円を手に入れたら」という質問では、大沢と藤原が貯金、松嶋が研究所へ寄付と答えたのに対し、監督は「俺は逃げるでしょうね。なくなるまで姿を消します。なくなったら戻ってきて、まだ僕の居場所があれば監督に戻ります。あと、ワーナー・ブラザースに借金を返すかもしれない。赤字分すみません、またやるときお願いしますって」と言って記者たちを笑わせていた。

『藁の楯 わらのたて』は、4月26日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー。また、公開初日まで「100万円で接待します。キヨマルキャンペーン」も実施中なので要チェックだ。

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2013/03/20 21:17

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