大和田伸也、初監督作品『恐竜を掘ろう』は全編福井で撮影
3月13日(水)、俳優の大和田伸也が初めて監督した作品『恐竜を掘ろう』の完成披露試写会がスペースFS汐留で行われ、大和田監督が出演者の松方弘樹、内山理名、入江甚儀、小野花梨と共に登壇した。
すでに大和田監督の生まれ故郷である福井県では先行上映されている『恐竜を掘ろう』。同作はすべてのシーンを福井で撮影して完成した。しかし、これは決して「ご当地映画」にはなっていない。「福井」という地名こそ出てくるけれど、映画の根底にあるヒューマンドラマは全国共通のものである。
福井といったら、何のイメージがあっただろうか。はて、なんの産地だったかな。筆者の場合、失礼ながら、戦国時代に朝倉氏が治めていて、織田時代には柴田勝家、豊臣時代には大谷吉継、徳川時代には結城秀康が治めていたところというくらいの知識しかなかった。そういえばこの間『旅の贈りもの 明日へ』という福井県を旅する映画を見たばかりだったけど、今福井の映画がかなりキテるのかも。
で、福井だけど、実は化石がよく発見されるところらしい。というのがこの映画を見てわかったんだけど、日本で見つかった恐竜の化石のほとんどはここ福井県で見つかったものだというから、これはすごい! 男なら恐竜と聞くだけでワクワクするよね。福井は世界の恐竜研究家たちが日本で最も注目している場所だったのだ。
大和田伸也の子供の頃の夢は、映画を作ることだったという。それは俳優という職業についたことで一応叶ったといって良いのだけど、でもまだ自分自身で映画を監督して作ったことはなくて、いつかやりたいと思っていたのだろう。今回の作品はその夢の結晶ということになる。大和田監督は「子供の頃の夢がやっとこの年になって叶った」と語っていた。
映画を作るからには、最高の役者に出てもらわなければならない。ということで、大和田監督は、生まれて初めてある人にラブレターを書いた。その人が名優・松方弘樹である。織田信長も豊臣秀吉も徳川家康も演じてきた百戦錬磨の松方弘樹である。松方さんは大和田監督からラブレターを受け取って仰天しつつも、「台本を読む前からこれは出なきゃいけないと思った」と二つ返事でOKしたという。奇しくもそれは百戦錬磨の松方さんが過去一度も演じたことがない役柄だった。70歳にして新境地を切り開いたのである。
この映画の良いところは、全編標準語で撮られていることだ。いや、方言を否定するつもりはないのだが、万人受けを狙うのであれば、方言はやはり妨げになるだろう。それは大河ドラマで織田信長が名古屋弁を喋らないのと同じ理由である。大和田監督は故郷福井を描くのに、多分使いたかったであろう福井弁をあえて使わなかった。それは正しい選択だったと思う。本作は福井が舞台であることをあまり意識させない。全国、大人から子供まで誰でも見られる普遍的なヒューマンドラマになっているのである。
内山さんは、「皆さん、福井県行ったことありますか? ちょっと行きにくい場所にあるのであまり私は行ったことがなかったんですけど、おいしいものがいっぱいあるし、皆さんとてもあったかい人たちで、初日から刺身を用意してくださったり。私は陶芸をやらせていただきましたけど、ものづくりするにはすごくいい県だと思いました。福井県の女性は結婚しても働いている女性が多いらしいですね。それでも幸福度が高いんですって」と話していた。大和田監督はすかさず「福井は幸福度ナンバー1なんですよ」と横から嬉しそうにコメントしていた。
内山さんは自分の演じた役について「憧れの人」と話していたけど、「内山さんは、福井県女の代表のような人なんです。優しくて綺麗でしっかり働いてる」と大和田監督。内山さんは弟思いのとても優しい綺麗な綺麗なお姉さん役を演じていて、筆者は内山さんを何か女優の特別なオーラのある人だなと前々から思っていたんだけど、それがどんなものか今までうまく表現できなかった。でもこの日、大和田監督が「日本のサンドラ・ブロック」って紹介してて、それを聞いてなんか妙に納得してしまった次第。この映画の内山さんは本当にサンドラ顔負けに素敵なので、これはファン必見ですぞ。
あと、ウブな感じの甚儀くんと花梨ちゃんがイイ。この2人の演技がかなり胸キュン。こんな青春やってみたかったぁ。花梨ちゃんは『南極料理人』をみたときから無茶苦茶可愛いなと思ってたけど、今回も2000人のオーディションから選ばれただけあって存在感がすごい。あの歩き方は可愛すぎる! これから良い女優になりそうだ。他にも鈴木砂羽も良い演技をしているし、やはり役者が監督しているだけあって役者の良い顔をよく引き出していると思う。
『恐竜を掘ろう』は3月30日から公開。(澤田英繁)
2013/03/21 0:30