想像を超えたホラー『キャビン』でホラーを論じよう

『キャビン』

ホラー映画の定番を木っ端微塵にし、全米では口コミで大ヒットした『キャビン』が、3月9日(土)から全国公開される。この公開を前にして、去る2月26日(火)に六本木にて同作のトークイベントが行われ、伊集院光(45)、佐々木心音(22)、町山智浩(50)が登場した。

『キャビン』が目指したのは定番をひっくり返すこと。観客に「またか」と思わせる設定にした上で、それをことごとくひっくり返す、題して「マルチ・レイヤー・スリラー」になっている。『トイ・ストーリー』の脚本を書き、『アベンジャーズ』を監督したジョス・ウェドンが製作と脚本、『LOST』と『クローバーフィールド/HAKAISHA』の脚本を書いたドリュー・ゴダードが監督と共同脚本を担当している。

町山は、ホラー映画の生き字引というくらいホラー映画に詳しく、ホラー映画について語らせると右に出るものはいないくらいだ。「この映画に出てくる山小屋は『死霊のはらわた』に出てくる山小屋だ」とか「タイトルが出てくるところは『ファニーゲーム』の真似をしてるんです」とか、『キャビン』が実は密かにホラー映画に詳しい人にとってはかなり「通」な内容になっていることが町山のトークによって明らかになった。「日本の『リング』みたいなのも出てきます。これは狼男とか吸血鬼とかすべての古今東西のホラー映画に統一理論を打ち立てようとした映画なんですよ」と、次から次へと飛び出すホラー論議はとどまるところを知らず、予定時刻をオーバーするほどの熱の入りようだった。

伊集院は、幾多のテレビのバラエティでトークのうまさは実証済みだが、実はホラー映画をまったく見ない人である。ホラー映画に詳しい町山とホラー映画に無知な伊集院、トークがうまいこの2人が語り合うことで、映画を見た後の理解がより深まるイベントになった。

『キャビン』は、「賭けてもいい。絶対に予想できない」、「あなたの想像力なんて、たかが知れている」とチラシに書かれてあるように、観客に挑戦状を叩きつけている映画だが、伊集院は「騙されてたまるかと思いながらも、それ以上のものを見せられて騙される快感がある。ちょっと見せの仕方とか、誘導の仕方、俺にわかった気にさせて操られる快感というのは良いですね。ホラー映画をまったく見ない僕でも楽しめました」と絶賛した。

男ばかりではむさくるしいので、この空間には目が覚めるギャルが必要ということで、もう一人登場したゲストがグラビアアイドルの佐々木心音だ。ホラー映画にはつきもののエロいチアリーダーをイメージした格好で登場した。やっぱりこれがないとホラーじゃないよね! 佐々木はただのグラビアアイドルではない。あどけない表情にしてこのセクシーボディ! ”今最もエロい体を持つ女”と言われており、エロスのカリスマ・石井隆監督の最新作『フィギュアなあなた』の公開も待っており今要注目の人である。

町山は、「まず最初に死ぬのはエッチな女の子だ。エロければエロいほど長生きしない。人が殺される順番があって、セックスをした人が最初に殺される。その次はスポーツマン。その次はガリ勉くん。最後まで生き残るのはファイナルガールと言われていて、処女なんですよ」とウンチクを語ると、佐々木は「自分としては最初に死ぬ役の方がいい!」と言って観客にゴクリと生唾を飲ませた。

町山は、「アメリカでは、ホラー映画は蛸壺みたいなもの。ホラー映画マニアしか見なくなっていて、ホラー映画マニアのためにしか作られていなくて広がりがない。『キャビン』は久々にホラー映画に興味がなくても面白い。ホラー映画が袋小路に入っているところを突破した映画です」と作品を評した。

『キャビン』は、バカンス、山小屋、ブロンド美女など、ホラー映画の定番要素が満載。しかし、その展開は普通の人の想像力を超えたところにある。ホラー映画ファンはもちろんマストだが、怖い映画が苦手な人にこそ見て欲しい作品でもある。3月9日(土)からロードショー。

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2013/03/04 6:26

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