第55回グラミー賞 アルバム賞をマムフォード&サンズが受賞

BABEL

世界最大の音楽賞、第55回グラミー賞授賞式が2月10日(日)ロサンゼルスで開催され、米ロック・バンド「ファン.」が新人賞と年間最優秀楽曲賞を受賞、英ロック・バンド「マムフォード&サンズ」が年間最優秀アルバム賞を受賞、豪シンガー・ソングライターの「ゴティエ」が年間最優秀レコード賞を受賞した。今年はひとつのアーティストが各賞を総なめする形ではなく、複数のアーティストが賞を分け合った形になった。

年間最優秀レコード賞ノミネート
ゴティエ feat. キンブラ「サムバディ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ノウ〜失恋サムバディ」★受賞
ブラック・キーズ「ロンリー・ボーイ」
ケリー・クラークソン「ストロンガー」
ファン. feat. ジャネール・モネイ「伝説のヤングマン〜ウィー・アー・ヤング」
フランク・オーシャン「シンキン・バウト・ユー」
テイラー・スウィフト「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない」

年間最優秀アルバム賞ノミネート
マムフォード&サンズ『バベル』★受賞
ブラック・キーズ『エル・カミーノ』
ファン.『サム・ナイツ〜蒼い夜〜』
フランク・オーシャン『チャンネル・オレンジ』
ジャック・ホワイト『ブランダーバス』

年間最優秀楽曲賞ノミネート
ファン. feat. ジャネール・モネイ「伝説のヤングマン〜ウィー・アー・ヤング」★受賞
エド・シーラン「Aチーム〜飛べない天使たち〜」
ミゲル「アボーン」
カーリー・レイ・ジェプセン「コール・ミー・メイビー」
ケリー・クラークソン「ストロンガー」
(楽曲賞はアーティストではなく作詞・作曲家に送られる賞である)

新人賞ノミネート
ファン.(ロック・バンド)★受賞
アラバマ・シェイクス(ロック・バンド)
ハンター・ヘイズ(カントリー歌手)
ルミニアーズ(ロック・バンド)
フランク・オーシャン(ラップ歌手)

ファン.は2011年に発表したシングル「伝説のヤングマン〜ウィー・アー・ヤング」が2012年にシングルチャートに6週連続1位に輝き、日本でも注目されていたが、新人賞と年間最優秀楽曲賞の受賞にとどまった。

毎年僕も勝者予想をしているが(僕の予想はこちらに書いています)、今年はレコード賞が6作ノミネートされており、いずれも見事な楽曲で、非常に予想が難しかった。僕のレコード賞の勝者予想は本命がファン.で対抗がケリー・クラークソンだったが、フタを開けてみるとゴティエの「サムバディ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ノウ〜失恋サムバディ」が受賞した。実は日本に留学したこともあり日本語が話せるゴティエ。この曲は日本でも色々なところでよくかかっていた曲なので誰でも一度は聞いたことがあるはずである。心に残る曲だが、割りと音が分厚めの曲が多い中で「ゴティエ」は地味な内容で、正直、これは意外で僕の予想しなかった結果だ。豪州市場からレコード賞が出たのは恐らくオリビア・ニュートン・ジョン以来であろう。他のメイン部門にノミネートされてなかった作品がレコード賞を取ったのは見事な快挙である。

今年一番面白かったのはロック部門である。年間最優秀アルバム賞ノミネート作品5作中4作がロック・アルバムという、今年度はロックが豊作の年となった。各ロック部門にはグラミー賞の常連や新進気鋭バンドなど各々ノミネートされており、予想が非常に楽しかった。

最優秀ロック・パフォーマンス賞ノミネート
ブラック・キーズ「ロンリー・ボーイ」★受賞
アラバマ・シェイクス「ホールド・オン」
コールドプレイ「チャーリー・ブラウン」
マムフォード&サンズ「アイ・ウィル・ウェイト」
ブルース・スプリングスティーン「ウィ・テイク・ケア・オブ・アワ・オウン」

最優秀ロック・ソング賞ノミネート
ブラック・キーズ「ロンリー・ボーイ」★受賞
ジャック・ホワイト「フリーダム・アット・21」
マムフォード&サンズ「アイ・ウィル・ウェイト」
ミューズ「マッドネス 〜狂おしい愛」
ブルース・スプリングスティーン「ウィ・テイク・ケア・オブ・アワ・オウン」

最優秀ロック・アルバム賞
ブラック・キーズ『エル・カミーノ』★受賞
コールドプレイ『マイロ・ザイロト』
ミューズ『ザ・セカンド・ロウ〜熱力学第二法則』
ブルース・スプリングスティーン『レッキング・ボール』
ジャック・ホワイト『ブランダーバス』

もうロック・ファンとしては胸バクバクとしか言えないラインナップ。コールドプレイ、ブルース・スプリングスティーン、ジャック・ホワイトなど、グラミー賞のノミネート常連メンバーたちの対決はかなり注目度が高かった。圧勝はブラック・キーズ。古典的なハードロックのノリで、これはもう乗らずにはいられない気持ちのいい作品をガツンと作ってくれた。なお、マルーン5とファン.は今回はロック部門ではなくポップ部門扱いになっている。

去年僕が猛烈にプッシュしまくっていたマムフォード&サンズは、去年はレコード賞の受賞を逃してしまって、僕の予想も外れて、てっきりグラミー賞から嫌われているのかと思ったが、今年は『バベル』で堂々たる受賞となった。僕はベテラン推しでブルース・スプリングスティーンに賭けてたんだけど、マムフォード&サンズの受賞は、ファンとして正直嬉しい。『バベル』はビートルズ以来48年ぶりにシングル曲を6曲ランクインさせるなど様々な記録を残した作品で、2012年で最も成功したアルバムだった。

僕が大好きなテイラー・スウィフトもレコード賞にノミネートされていたが、今年アルバム賞を取っても良さそうなものだったが、彼女が本領を発揮するのは来年になるだろう。アルバム「レッド」も来年が選考対象となるからだ。

ポップ部門はケリー・クラークソン、アデル、ピンク、ケイティ・ペリー、リアーナなど、今年もいつものグラミー賞の常連メンバーが名を連ねていたが、もはや今年はケリー・クラークソンとアデルの一騎打ちと思われた。アデルは去年の覇者であったが、ライブアルバムで今年もノミネート。このライブアルバムがまたすごく良くて、去年アルバム賞を取った『21』よりもむしろこっちのライブ盤の方が良いくらいで、最高の精神状態で歌っていて思わず鳥肌が立つほど。僕はCDを聞きながら感動で泣きそうになったくらい。というわけで絶対アデルが今年も取ると思ったが、予想通りの結果になった。

最優秀ポップ・パフォーマンス賞(ソロ)ノミネート
アデル「セット・ファイア・トゥ・ザ・レイン」★受賞
ケリー・クラークソン「ストロンガー」
カーリー・レイ・ジェプセン「コール・ミー・メイビー」
ケイティ・ペリー「ワイド・アウェイク」
リアーナ「ウェア・ハブ・ユー・ビーン」

最優秀ポップ・パフォーマンス賞(グループ)ノミネート
ゴティエ feat. キンブラ「サムバディ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ノウ〜失恋サムバディ」★受賞
フローレンス&マシーン「シェイク・イット・アウト」
ファン. feat. ジャネール・モネイ「伝説のヤングマン〜ウィー・アー・ヤング」
LMFAO「セクシー・アンド・アイ・ノウ・イット」
マルーン5&ウィズ・カリファ「ペイフォン」

最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞ノミネート
ケリー・クラークソン『ストロンガー』★受賞
フローレンス&マシーン『セレモニアルズ』
ファン.『サム・ナイツ〜蒼い夜〜』
マルーン5『オーヴァーエクスポーズド』
ピンク『トゥルース・アバウト・ラヴ』

その他の主な受賞者は以下の通り(全81部門の中から抜粋)。

最優秀ダンス・アルバム賞
スクリレックス『バンガラング』

最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞(トラディショナル)
ポール・マッカートニー『キス・オン・ザ・ボトム』

最優秀メタル・パフォーマンス賞
ヘイルストーム「ラヴ・バイツ」

最優秀オルタナティヴ・アルバム賞
ゴティエ『メイキング・ミラーズ』

最優秀R&Bパフォーマンス賞(コンテンポラリー)
アッシャー「クライマックス」

最優秀R&Bパフォーマンス賞(トラディショナル)
ビヨンセ「ラブ・オン・トップ」

最優秀R&B楽曲賞
ミゲル「アボーン」

最優秀R&Bアルバム賞
ロバート・グラスパー・エクスペリメント『ブラック・レディオ』

最優秀ラップ・パフォーマンス賞
ジェイZ&カニエ・ウエスト「ニ*ズ・イン・パリス」

最優秀ラップ・コラボレーション賞
ジェイZ&カニエ・ウエスト「ニ*ズ・イン・パリス」

最優秀ラップ楽曲賞
ジェイZ&カニエ・ウエスト「ニ*ズ・イン・パリス」

最優秀ラップ・アルバム賞
ドレイク『テイク・ケア』

最優秀カントリー・パフォーマンス賞(ソロ)
キャリー・アンダーウッド「ブローン・アウェイ」

最優秀カントリー・パフォーマンス賞(グループ)
リトル・ビッグ・タウン「ポントゥーン」

最優秀カントリー楽曲賞
キャリー・アンダーウッド「ブローン・アウェイ」

最優秀カントリー・アルバム賞
ザック・ブラウン・バンド『アンケイジド』

最優秀ニューエイジ・アルバム賞
オマール・アクラム『エコーズ・オブ・ラブ』

最優秀ジャズ・インプロヴィゼーション賞
ゲイリー・バートン&チック・コリア「ホット・ハウス」

最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞
エスペランサ・スポルディング『ラジオ・ミュージック・ソサイエティー』

最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞
パット・メセニー・ユニティ・バンド『ユニティ・バンド』

最優秀ジャズ・アンサンブル・アルバム賞
アルトゥーロ・サンドヴァル『ディア・ディズ』

最優秀ゴスペル・パフォーマンス賞
マット・レッドマン「10000リーズンズ」

最優秀ゴスペル楽曲賞
メアリー・メアリー「ゴー・ゲット・イット」

最優秀ゴスペル・アルバム賞
リクレア『グラヴィティ』

最優秀ラテン・ポップ・アルバム賞
フアネス『MTVアンプラグド・デラックス・エディション』

最優秀ラテン・ロック・アルバム賞
ケッツァル『イマジナリーズ』

最優秀ブルース・アルバム賞
ドクター・ジョン『ロックト・ダウン』

最優秀フォーク・アルバム賞
ヨーヨー・マ他『ゴート・ロデオ・セッションズ』

最優秀レゲエ・アルバム賞
ジミー・クリフ『リバース』

最優秀ワールドミュージック・アルバム賞
ラヴィ・シャンカール『リビングルーム・セッション1』

最優秀オーケストラ・パフォーマンス賞
マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団『アダムス:ハルモニウム』

最優秀オペラ・レコーディング賞
メトロポリタン歌劇楽団『ワグナー:ニーベルングの指環』

最優秀クラシック器楽独奏賞
キム・カシュカシアン『クルターク、リゲティ:ヴィオラのための音楽』

最優秀サウンドトラック・コンピレーション賞
『ミッドナイト・イン・パリ』

最優秀サウンドトラック賞
トレント・レズナー、アッティカス・ロス『ドラゴン・タトゥーの女』

最優秀サウンドトラック楽曲賞
テイラー・スウィフト『ハンガー・ゲーム』

最優秀ミュージック・ビデオ賞(短編)
リアーナ「ウィ・ファウンド・ラブ」

最優秀ミュージック・ビデオ賞(長編)
マムフォード&サンズ他『ビッグ・イージー・エクスプレス』

授賞式の模様の字幕版は2月11日(月)夜10:00からWOWOWで放送される(3月30日(土)夜9:15再放送)。(澤田)

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2013/02/11 19:25

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