『王になった男』イ・ビョンホンが考える「俳優論」とは?
1月29日(火)有楽町。時代劇としては韓国映画史上ナンバー1ヒットを飛ばしている『王になった男』の来日記者会見がザ・ペニンシュラ東京で行われ、主演のイ・ビョンホンが登場した。
ビョンホンは、「時代劇に出るのは初めてですが、これまで避けてたわけでなく、今回も時代劇だからやりたいと思ったのではなく、ストーリーがよかったから出ようと思いました。誰でも一度は自分が王様だったらということを想像すると思んですけど、この作品はそれを骨太なメッセージで伝えてくれているなと思ったからです。しかも重くなりがちな部分ばかりにならず、コミカルな部分もあったので、これは素晴らしいシナリオだと思ったので出演を決めました」とこの映画に出た経緯について語った。
この映画が韓国で大ヒットしているその理由を聞かれると、「イ・ビョンホンが出演しているからだと思います」とジョークで答えて場を和ませたあと、「この作品は歴史的な事実を基盤にしています。王の日記を見ますと、15日間空白になっているんですね。そこからヒントを得て、空白の15日間にこういうことが起きたらどうだろうかというフィクションを加味して作りました。もともとは史実をもとにしているから観客はそこに興味をもったのだと思います。劇中では賎民が王様の真似をするわけですよね。王様につきましては時代や国を問わず、どの人たちも世の中に対してうっぷんをもっていたり、悲しみをもっていたりすると思のですが、それをこの作品では表していたと思います。それが観客には痛快に見られたのだと思います」と見解を語っていた。
ビョンホンの熱心なファンも会見に来ていて、韓国語で「鏡を見ながらあなたの踊りの真似をしているのですが、どうもうまくできません」という面白い質問もあったが、これについては「今回この映画の中で韓国舞踊のパフォーマンスを見せるシーンがありました。最初は踊ることはたいしたことがないと思っていたのですが、そんなことはなかったんですね。韓国舞踊というのは基礎から学ばなければならなくて、歩き方ひとつにしても長い時間練習してようやく身についていくんですね。舞踊のシーンは最初に撮る予定だったのですが、まだまだ練習が足りなかったので、最後に回しました。あなたは舞踊の練習をしても、表情の練習はしないと思うんですよね。俳優というのは心の中にそういう感情をもっていないと表情として伝わらないからです。いくら表情の練習をしても伝わらないと思うので、そういう練習をしているのであればやめた方がいいと思います」と答えて記者たちを笑わせていた。
最後に”俳優として気をつけていること”を聞かれたビョンホンは、「俳優という職業は何かを練習して深みを出せるものではないと思っています。俳優は人生を語り、人生を自分の体をもって演技をしてみせるからなんですね。ですから本を読んだりとか自分を磨いたりとかで俳優ができるとは思っていません。私は後輩には”分別を持ってはいけません”と言っています。俳優だけではなくてアーチストもしかりなんですけど、そういう人たちというのは奇抜なアイデアが必要で、ときには突拍子もないような考え方もあると思うんですけど、分別を持つことはそういった想像の根を切ってしまうことになると思うからなんですね。子供が成長する中で、親が子供に対してよく”大人になれ”、”分別を持て”と言いますが、私は後輩には反対のことを言っているんですね。年が50になっても少年としての気持ちを持っていた方がいいと思います。そういった気持ちがあれば良い考えが浮かびますし、それを表現することもできると思います」と落ち着いた口調で話していた。
『王になった男』は、2月16日(土)より新宿バルト9、丸の内ルーブルほかにて全国公開。
2013/02/04 0:24