全演技部門にノミネート『世界にひとつのプレイブック』ブラッドリー・クーパーが来日
1月24日(木)六本木。『世界にひとつのプレイブック』のプロモーションのために来日したブラッドリー・クーパーのジャパンプレミアイベントが行われた。
『世界にひとつのプレイブック』は、2012年度アカデミー賞ノミネーションで、激戦区ともいえる主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞の演技部門すべてにノミネートされる快挙を遂げた作品である。これはアカデミー賞の歴史においても極めて稀である。それだけ役者の演技に支えられた作品であり、久しぶりに「役者の演技で見せる映画」と言える良作の誕生だ。躁鬱病の人を描いているところは珍しいが、型破りな内容ながらも身につまされるものがあり、根底にあるものは映画の基本に忠実である。非常に丹念に描きこまれている。最近の爆発ドッカン映画で食傷気味の人には一種の清涼剤になるだろう。
このブラッドリー・クーパー。アメリカのピープル誌で「世界一セクシーな男」に選ばれたほどの俳優である。その甘いマスクで女性ファンをメロメロにするが、ブラッドリーが素晴らしいところは男からみても嫌味のないかっこよさということである。『ハングオーバー!』、『特攻野郎Aチーム』などもあって、どちらかというと男性ファンの方が多いのではないかと思うくらいだ。今回は舞台挨拶だけのイベントだが、「どうしても」というブラッドリーのたっての願いで、予定を変えて映画館の観客たちに直接ファンサービスすることになった。
ブラッドリーはファンとこうして触れ合うのが本当に好きでたまらないという。映画館にはレッドカーペットが敷かれてあるわけでもなく、客席にブラッドリーが直接会いに行って、一人一人にサインして、一緒に写真を撮ってあげたのである。iPhoneを持っているファンが多かったが、ブラッドリーはiPhoneについてはかなり慣れたもので、自分でファンのiPhoneのカメラを操作して自らファンとツーショットを撮ってあげる大サービスもやってくれた。まさかのこの行為に女性たちは大絶叫。ファンはこうなることを始めから期待して色紙をちゃんと持ってきていたのである。男性ファンもちゃっかりツーショットを撮ってもらっていた。
舞台にあがったブラッドリーは、「こんなにたくさんの人に来ていただいてありがとう。たった2日しかいられないのは残念だけど、この映画を携えてここに来られたことはとても嬉しいです。この映画がこんなに多くの人を惹き付けるのは、監督がリアルな人間を描こうとしたからです。人というものは時々自分の事をアウトサイダーだと感じることがあるけれど、この映画を見て誰かと一緒にいるんだってことを感じてもらえたら幸いです。これはロマンティックな映画でもあるし、家族の映画でもある。人が生きていくとき人を必要としていることを感じてもらえると思います」と挨拶した。一方で、「男性ファンも女性ファンも来てくれて嬉しいけど、でもやっぱり女性の方がいいですね」とはにかむ一面も。
こういう大物のゲストには、それに見合った異性の花束ゲストが必要である。ということで、セクシーな黒いドレスがよく似合う黒木メイサが登場した。花束を受け取ったブラッドリーは「きみが花を選んでくれたの?」と聞き、黒木は得意気に「そうです」と答えていた。「ダンスを通して2人の傷が癒されていきましたが、ブラッドリーさんがダンスをする印象が私にはなかったので意外でした。特訓したんですか?」との黒木の質問には「僕が踊れない人に見えるの?」と爽やかにおどけていた。
『世界にひとつのプレイブック』は2月22日、TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開。(澤田英繁)
2013/01/28 3:15