HFRで撮影 ピーター・ジャクソン『ホビット 思いがけない冒険』を語る

『ホビット 思いがけない冒険』

12月1日(土)、ホテルオークラ東京にて、『ホビット 思いがけない冒険』の来日記者会見が行われ、出演のマーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、イライジャ・ウッド、アンディ・サーキス、そしてピーター・ジャクソン監督が出席した。ご一行は11月28日にニュージーランドでワールドプレミアを終えて、その足で日本に着いたばかりである。

『ホビット 思いがけない冒険』は、『ロード・オブ・ザ・リング』トリロジー(三部作)から60年をさかのぼる新たなトリロジーの始まりである。『ロード・オブ・ザ・リング』トリロジーにも登場するビルボ・バギンズが主人公で、魔法使いのガンダルフ、13人のドワーフと共に思いがけない冒険に旅立つ。おなじみのイアン・ホルム、イアン・マッケラン、クリストファー・リー、ヒューゴ・ウィービング、イライジャ・ウッド、アンディ・サーキスが同じ役で出演している。

主演のマーティン・フリーマンは、2010年から放送中のBBCのテレビシリーズ「シャーロック」でワトソン医師を演じてエミー賞の最優秀助演男優賞にノミネートされ、英国アカデミー賞を受賞するなど、イギリスでは国民的な人気がある俳優だ。フリーマンは「世界一大掛かりな映画の現場なのに、学生が映画を作っているような楽しい現場でした」と振り返っていた。

本作で最も注目されるところは、HFR(ハイフレームレート)で撮影されていることである。通常の映画の描画枚数は1秒間に24フレームだが、本作では1秒間48フレームで撮影されている。一部の映画館ではHFR 3D版として上映される(2D版、3D版、IMAX 3D版、HFR 3D版と、各映画館で上映の方式が異なる)。ピーター・ジャクソン監督はこの方式を採用したことについて以下のように語っている。

「1927年に映画にサウンドがつくまで、映画は手でフィルムを回して撮影していた(『キング・コング』にその様子は描かれている)。回し方次第でスピードを変えることができたんだ。35ミリフィルムは高価だったから、1秒間に24フレームで一定になって、カメラも映写機もそれがスタンダードになって今まで80年以上変わらなかったんだ。それが、今ではデジタルシネマになってフレームレートを自由に変えられるようになった。3DとHFRを組み合わせることでよりリアルな映像を作れるようになった。今ではiPhoneで映画が見られるようになったから映画館に行かせるのは難しくなったけど、スペクタクル映画はぜひ映画館で見てもらいたいからね」

また、本作を作ったきっかけについては「他の人に『ホビット』を作られたくなかったから先に自分で作ったんだ」と回答した。「僕は映画とは逃避だと思ってる。映画を見ると他の世界に行くことができるんだ。そういうのが好きでね。ファンタジーは逃避するには一番ふさわしいものだね。エキゾチックな世界にいざなってくれるんだ」と話していた。

ドワーフの王トーリン役のリチャード・アーミティッジは「ピーター・ジャクソンの映画は今後もおそらくリメイクされることがないから、そうなると、僕がトーリン役を演じる最初で最後の俳優ということになるから、ファンのイメージを崩さないように努めた」とコメントしていた。

ゴラム役のアンディ・サーキスは今回はセカンドユニットディレクターも担当している。会見ではゴラムの声で「オハヨウゴザイマス」と挨拶して記者たちを沸かせた(あの独特の声はエフェクトで作られた声ではなく実際にアンディの口から直接発されていた声だったのだ!)。

フォトセッションでは男たち5人ががっちりと肩を組み合い、いかにも「旅の仲間」という感じ。仲が良さそうであった。公開は12月14日(金)から。

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2012/12/03 6:15

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