あの歌番組が26年ぶりに復活。『レッツゴーヤングコンサート2012』

石川ひとみ

1974年から1986年まで、日曜日の夜6時にNHK総合で放送していた40分の歌番組『レッツゴーヤング』が、11月23日(祝・金)に、たった一度だけ、コンサートとして蘇った。しかも、この日のコンサートの会場は当時収録に使われていた会場と同じNHKホールだ。司会も放送当時と同じ太川陽介(53)と石川ひとみ(53)。26年前の形のまま真空パックしたようにここに蘇ったのである。筆者もたっぷりとこのライブを楽しませてもらったので、今週はこのライブの模様をレポートしたいと思う。さあ、80年代にタイムスリップしてみよう!


なんで今このときにこの番組が復活したのか、その理由はわからないけれど、とにかくたった一夜でもこうして復活したのはファンには嬉しい。何がすごいかって、この日のゲストのラインナップである。太川陽介と石川ひとみが出てるだけでもこりゃあファンにはたまらないと思うが、さらに、番組放送当時に番組にゆかりのある有名なアイドルたちが集まってくれたのだからこれを豪華と言わずしてなんと言おうか。


そのラインナップは、
伊藤咲子(54)
岩崎良美(51)
大沢逸美(46)
大場久美子(52)
柏原芳恵(47)
城みちる(55)
竹本孝之(47)
新田純一(49)
南野陽子(45)
森口博子(44)
ザ・リリーズ(2人とも51)


ちなみに、筆者のお目当ては、森口博子だったけれど(バラドルの元祖ですから!)、出演者がみんなあまりにも豪華すぎて恐れ多くて五十音順以外に並べることができなかった。いきなり全員がまとめて最初に登場したのにも驚いたけど、これがテレビの見せ方なのだろう。最初に全員を出してチャンネルはそのままみたいな。『機動戦士ガンダムF91』のテーマ曲(名曲!)など、番組が終了した1986年以降に発表された曲もセットリストに含まれていたから、単なる『レッツゴーヤング』だけのノスタルジーに終わっていないところもよかった。


しかし、「ヤング」って言っておいて、最年少が44歳って・・・。とはいえ、当時の(「当時の」なんて書くのは失礼か)アイドルたちは今なおキラキラと輝いていて、40代・50代とは思えない若々しさで、みんなこのコンサートで嬉々として歌っていた。さらにサービスして、太川陽介と石川ひとみも一アーチストとして歌ってくれたのはかなりお得感があった。石川ひとみがまた声が若々しくてびっくり! トーク中の声もまるで10代の少女みたいだったけど、『くるみ割り人形』を歌ってるときにはなんだかもう心が洗われるようで胸がキュンキュン。筆者の幸福気分はここで最高潮に達した。


2時間半にも及んだこのコンサート。ずっと歌っていたわけでなく、コンサートのうちの半分はトークショーで楽しませてくれた。太川陽介の名調子も昔のまんま。大場久美子の紹介では「キャッチフレーズは、"一億人の妹"ですよ。すごいなあ。複雑な家族構成ですね。おじいちゃんの妹でもあり孫の妹でもありますから」と独特のユーモアセンスで会場の笑いを誘っていた。


様々な裏話も聞くことができた。太川陽介は当時シークレットブーツを履いていたことをカミングアウト。「6センチあげてた。僕が踊りが下手だったのはいつも爪先だったから」と語っていたし、伊藤咲子と城みちるはデビューして間もなく付き合っていて、「禁断の恋でした」と振り返った。南野陽子は太川陽介に直談判してデビュー曲をこの番組だけで歌ったことを明かした。


森口博子は当時番組でジャニーズ歌手などの後ろで踊っていたバックダンサーの一員(現スクールメイツ)だったことから、バックダンサー時代の思い出を語り、現在のスクールメイツのメンバーにエールを送っていた。ネタ的に当時「アイドルたちのアイドル」でもあった田原俊彦や近藤真彦についての話題が多かったが、新田純一はなんと即興の伴奏付きで近藤真彦のモノマネまで披露して盛り上げてくれた(来年2月17日放送の「完全版」でこの部分まで放送できるかどうか心配だが・・・)。


このコンサートで、筆者が強烈に印象に残ったことが2つある。1つは、客席の声援である。「芳恵ちゃーん!!」というあまりにも野太い声。歌手が歌っているときも大声でエールを送っていた。80年代のアイドルのコンサートのビデオとかを見ると客席でよく叫んでいるあの声である。親衛隊は今も健在だったというわけだ。この声を聞いて気分はすっかり80年代に突入した。


もう1つ印象的だったのが、リバーブ(残響)を効かせたマイクだ。NHKの歌番組を見るとよく声が響いていることから筆者は以前から勝手にこれを「NHKサウンド」と名付けて呼んでいたのだが、この日、ついに「NHKサウンド」を生で体験することができた。この音響は他のライブと比べてもかなり雰囲気が違う。竹本孝之が「ここは気持ちいいっすよ」も爽やかに語っていたように、歌っている方もかなり気持ちがいいことがわかった。


そして、NHKホールという場所そのものが、歌手たちの気持ちを高揚させているようだった。壁が大きなパイプオルガンになっていて、とても格調高いホールである。毎年紅白歌合戦はここで行われる。紅白出場は日本の歌手にとって最高の誉れであるから、同じステージに立てるだけでも気合いが入るようだ。


大場久美子は「今日は自分の妄想で12月31日だったので、朝お餅を食べてきました」と嬉しそうだった。大沢逸美も「大晦日にインタビューするところで記念撮影しちゃいました」とワクワクが止まらない様子だった。このワクワクは我々観客にとっても同じこと。紅白歌合戦をやっている場所でコンサートが見られるのは観客も嬉しいことである。その意味でも、このコンサートは『レッツゴーヤング』の復活祭であると同時にNHKホールのトリビュートという側面があったような印象も受けた。


前半と後半で全員衣装替えもあり、赤青黄と綺麗なドレスに彩られて、80年代のヒット曲のオンパレードと、とにかく豪華な内容だった。そして大トリで出てきた伊藤咲子の『乙女のワルツ』。感動で震えた。このコンサートは「これぞ昭和歌謡!」といえるものだったと思う。(澤田)

このコンサートの模様は以下の日程で放送される。

・ダイジェスト版
2013年1月12日(土)午後10時~11時(BSスカパー! - BS241ch)
・完全版
2013年2月17日(日)時間未定(歌謡ポップスチャンネル - CS329ch)

番号 曲目 出演 年代
1 ムーンライト・カーニバル 全員 1979
2 好きよキャプテン ザ・リリーズ 1975
3 てれてZin Zin 竹本孝之 1981
4 春なのに 柏原芳恵 1983
5 ハロー・グッバイ 1981
6 スプリング・サンバ 大場久美子 1979
7 キラキラ星あげる 1978
8 タッチ 岩崎良美 1985
9 愛がひとりぼっち 1985
10 くるみ割り人形 石川ひとみ 1978
11 まちぶせ 1981
休憩
12 Lui-Lui 太川陽介 1977
13 ジェームス・ディーンみたいな女の子 大沢逸美 1983
14 ハニーハニーSunshine Girl 新田純一 1982
15 夢がMORI MORI 森口博子 1991
16 ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~ 1991
17 楽園のDoor 南野陽子 1987
18 吐息でネット 1988
19 イルカにのった少年 城みちる 1973
20 ひまわり娘 伊藤咲子 1974
21 乙女のワルツ 1975
EN メモリー 全員 1984

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2012/11/26 4:27

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