デイヴィッド・フォスター&フレンズ2012 東京国際フォーラム ライブレポート
2012年11月12日(月)、一夜限りのデイヴィッド・フォスターのライブに行ってきました。
チャカ・カーン、ベイビーフェイスと、ゲストが豪華だったので行ってみたのですが、この日の主役のデイヴィッド・フォスターという方を、実は正直、僕は最初は知らなかったんですよ。カナダ出身の偉大なる音楽プロデューサー・作曲家とのことで、ライブの前にちょっと調べてみましたが、これまでにプロデュースしてきたアーティストの顔ぶれを見て驚きました。
ホイットニー・ヒューストン、シカゴ、セリーヌ・ディオン、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、ナタリー・コールなどなど。以前AOR(大人のロック)といわれたジャンルを切り開いた一人で、僕の好きな歌の多くが実はデイヴィッド・フォスター印だったと知り、ぶったまげました。グラミー賞も16回も受賞しているとのこと。今まで自分はプロデューサーのことをまったく意識せずに音楽を聴いてきたのだと反省させられました。
このライブは、そのデイヴィッド・フォスターを中心に、彼がプロデュースしたアーティストたちを「フレンズ」として招いたバラエティショーになっていました。以前イギリスの音楽プロデューサー、トレヴァー・ホーンが自分のプロデュースしたアーティストたちを招いてコンサートを行ったことがありましたが、それと同じような感じのライブでした。
20分遅れでコンサートが始まり、まずはデイヴィッド・フォスターがプロデュースしてきたヒット曲をダイジェスト映像で紹介。うぉおお、知ってる曲ばかりでびびる。あれもこれもデイヴィッド・フォスター印だったとは! その映像に圧倒されたあと、ようやくデイヴィッド・フォスター本人の登場です。銀髪のりりしいおじさんです。デイヴィッドはピアノを弾き、MCも兼ねていましたが、そのMCがあまりにも上手で、語り口調がかなり引き込まれます。プレゼンとかやらせたら拍手喝采でしょうね。やっぱ大物プロデューサーは違います。全部英語で通訳の人もいませんでしたけど、英語がよくわからない日本人でも、非常に簡単な英語だったので、なんと言っているのかわかりました。そして英語なのに、これが面白い。日本人にも受けるジョークです。まんまと笑ってしまいます。
それで、前の客の一人が寝ていたのを見て、その人に勝手に「TAKA」という名前をつけて、事あるごとにTAKAをいじって笑わせてくれました。ついにはベイビーフェイスと即興で「I Love TAKA」という歌まで歌ってしまうし。会ったこともない赤の他人を生でいじってここまでうまくいくなんて、ショウマンとしてのセンスもピカイチでした。
このライブ、休憩なしでなんと2時間40分もあったのですが、次々と出てくるアーティストたちの歌もバラエティ豊かでまったく飽きませんでした。この時間で盛り込めるだけ盛り込んでいる感じでした。歌も全部歌うのではなく、一部だけ歌って「ここから先は歌詞がわからないから歌えないんだ」とかいって、いいとこどりで、代表曲のサビの部分をこれでもかこれでもかと連発していました。
あと、人を引き立たせるのもうまいですね。最初のゲスト、ヘイリーは、すごく綺麗なお嬢さんで、日本でも人気。「アメイジング・グレイス」を一部日本語で歌わせました。「他にも何か日本語を言ってみて」と言わせて、ヘイリーは覚えてきた日本語を次々と披露。この日本語が結構うまくて癒されました。
客席に降りることもよくあって、「誰か歌手はいないか?」と声をかけると、TOKUという歌手が手をあげて、「じゃあ25秒歌ってみて」といって歌わせてみたら、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を歌って、これがあまりにうまかったものだからバックバンドも伴奏で乗ってきて、客席も手拍子して加わって、結局一曲まるごと歌って会場全体で盛り上がるハプニングもありました。これにはデイヴィッドも「君はすごいよ!」と感動してましたね。
この日、客席に最も大きな感動をもたらしたのは、フェルナンド・ヴァレーラ。ゲストの中でも一番無名かもしれませんが、まず最初「男が女を愛するとき」を歌わせて、その喉にびっくりさせ、これはうまいと思わせたかと思うと、いきなり歌の途中で止めて「もっといい歌を歌えるんだよ」といって次は「トゥーランドット」を歌わせました。これがすごい声で、拍手もなりやまず、客席の半分がスタンディングオベーションしてました。役者を際立たせるこの見せ方のうまさが、プロデューサーとしての手腕でしょうか。
ポール・ヤングも登場。誰かと思えば、「エヴリタイム・ユー・ゴー・アウエイ」を歌った人でした。この曲、昔僕もすごくよく聴きました。こんなところで本人の生歌が聴けるなんてラッキー。客席に降りてきたかと思うと、女性のお客さんに握手・・・かと思えば、その女性と踊り始めて女性客もびっくり。ディナーショーのノリです。見ているこっちもドキドキ。客席に合唱させたりしてましたが、日本人って英語の曲になると途端にシャイになるんですよね・・・。
続いてダーティ・ループス登場。これからデイヴィッドが売り出していくスウェーデン出身のスリーピース(キーボード、ベース、ドラムス)のロックバンドでした。前半でたっぷりポップスを聴いたので、ここら辺で次はロックが聴きたいと思っていたのでグッドタイミングの登場です。
後半に入り、ピーター・セテラの登場。客席から大喝采に迎えられて、誰かと思えば、シカゴのベーシストだったんですね。シカゴのCDはよく聴いてましたが、恥ずかしながら、僕はこの人がベースの人だとは知らなかったので、予想もせずにこの場でシカゴの生歌が聴けて、これはラッキーでした。「素直になれなくて」。本当にいい曲です。僕は本当はこの曲の後半部分が好きなのですが、前半部分しか歌ってくれなかったのはちょっと残念でしたけど、とはいっても本人の声が聴けたのはうれしかったです。ピーターの声は唯一無二の魅力がありますね。個人的にこの日一番良かったと思いました。
続いて、ベイビーフェイスの登場。僕の期待どおり、エリック・クラプトンをプロデュースした「チェンジ・ザ・ワールド」を歌ってくれました。さらにボーイズ・II・メンの「エンド・オブ・ザ・ロード」のときには客席におりてきて、ちょうど僕は通路沿いの席だったのですが、手を出したらベイビーフェイスがタッチしてくれて、こんな経験生まれて初めてだったので、すごく幸せな気分にさせてもらいました。
そしてラスト、真打チャカ・カーンの登場です。R&Bの女王です。これはド迫力! 登場しただけで圧倒されるところはさすがと言わせるものがありました。曲名はわかりませんが、ダーティ・ループスのキーボーディストの人と一緒に歌ったロックナンバーがかなりイカしてました。ここから観客も総立ちに。
最後にはメンバー全員で、マイケル・ジャクソンの「アース・ソング」を合唱。マイケルのパートはチャカ・カーンが担当して歌いました。それにしても、これもデイヴィッド・フォスター印だったのですね。恐るべしデイヴィッド・フォスター。
アンコールは、デイヴィッド・フォスター一人だけ出てきて、ひとりでピアノを演奏してくれましたが、これがすごくしみじみとして良かったんですよ。客席を見て幸せそうな笑顔を見せてくれて、それを見てると、なんだかじんと来ました。
いやー、大満足です。今年でデイヴィッド・フォスターのライブも3回目になりますが、毎年ゲストが入れ替わり豪華なので、これはぜひ来年もチェックしたいと思いました。(澤田)
ゲスト一覧
名前 | ジャンル | 国名 |
---|---|---|
デイヴィッド・フォスター | プロデューサー | カナダ |
ヘイリー | ポップ | ニュージーランド |
ポール・ヤング | ポップ | イギリス |
フェルナンド・ヴァレーラ | クラシック | プエルトリコ |
ダーティ・ループス | ロック | スウェーデン |
ピーター・セテラ | ロック | アメリカ |
ベイビーフェイス | R&B | アメリカ |
チャカ・カーン | R&B | アメリカ |
2012/11/13 13:20